新型コロナで社会の不安の声は依然高いレベルにあります。感染予防を心掛けながら日常生活を維持していくことはたやすいことではないかもしれません。一方、私は「楽観的」と思われる発信をし続けてきています。ただ、私の本質は楽観主義の微塵もなく、Positive Thinking(前向き思考)であって、自分周りのあらゆる事象を分析し、物事のボトムラインを考えてた上での自分なりの意見なのです。もう一つは私の人生の経験値がやや広く、ちょっぴりワイルドだったのかもしれません。
8割の方の日常生活は会社行くことと家に帰って寝ることの繰り返しではないでしょうか?休みの日は疲れているんだと自分に言い聞かせ、寝続けていていたり、怠惰な生活をしていつの間にか日曜日の夕方になっていたという人は多いのではないでしょうか?直近の1カ月間の週末に何をしたか、やったことを全部羅列してください、と言われたら何が上がりますか?テレビとスマホ以外出てこない人も多いでしょう。
これでは人生の経験値は上がりません。では学校に行ったり習い事に行けばいいのか、という話ですが、何もやらないよりはましですが、大した評価は差し上げられません。なぜなら学校の勉強も習い事も基本的には受け身だからです。自分がもがき苦しみながら作り出し、失敗を重ねるという試行錯誤がないのです。教えられたとおりにやればノウハウや技術を磨くには役立ちますが、人生の年輪にはなりません。
「人生の享楽」を楽しむのは老後で十分です。そして私の老後の設定年齢は90歳から始まることになっています。それまでいかに行動し、考え、実践するか、そのための知力、体力はどう整えるのかというプランを考え、ストイックさを忘れないようにしています。
例えば、うまいものは数カ月に一度、食べられれば結構です。若い時にさんざん日本と世界の一流店に行く機会があり、その価値がわかったからこそ、食生活のメリハリに重きをおけるようになったのです。
私には現金の貯金がほとんどありません。お金は不動産や株に全部投資してしまうからです。手元にお金がないので絶対に失敗できない家計操縦術が必要で、結果として買い物の際、一つひとつの価格と価値を考えています。(ケチという意味ではなく、そのお金を払う価値があるかを検証するのです。)
このコロナショックでも手持ちの株式投資を通じて利益を生み続けられているのは崖から落ちるわけにはいかないので必死に操縦をしているからなのです。
会社の月次を眺めながら売り上げやコストの分析をしてどうやったら次のレベルに上がれるのかをチェックし、コロナで皆が動かない今こそ動かす時だ、という逆転の発想でこの2カ月で色々なことが展開しています。新しい種も撒きました。次の世界が待っています。
そんなギリギリのことをして大丈夫なのか、と心配されるでしょう。私は目先に飴玉をぶら下げないようにしているだけのことで自分に甘くない、それだけなのです。日々起きている事象に対して常に疑問を持ち、「なぜなのだろう」「改善できないのか?」と考え、それを変えるために一歩踏み出すどころか、いつの間にか中心にいるぐらいの勢いなのです。真ん中に入ると後に引けませんのでもがきながら問題を解決していくのです。
人生のボトムラインを考えてみてください。平穏無事な生活で終わってほしいと皆、願っています。が、今回のコロナをはじめ、天災や勤め先のこと、人間関係など様々な問題は好む好まざるにかかわらず襲ってきます。ということは平穏無事を前提にするから何かあった時に大慌てになるともいえるのです。
私の場合、ここに書くことは憚れますが、あらゆる経験を通して「何があっても大丈夫、命は取られない」という落としどころがあるのです。
先日のトヨタの決算発表の際、豊田章男社長が「リーマンや東日本大震災時との違いについて問われ『一番は私が落ち着いていることじゃないか』」と話した」(日経)とあります。ユニクロの柳井社長が人類の危機と述べたことと正反対です。これぐらいのことはいつも覚悟、そしてそれを乗り越えていけるだけの人間の太さと余裕がどんなことにも冷静に対処できる人を作るのだろうと思います。
私は楽観主義ではなく、冷静に物事を見抜く力を持ちたい、それだけなのです。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2020年5月17日の記事より転載させていただきました。