こんにちは、音喜多駿(参議院議員 / 東京都選出)です。
昨日は急転直下、検察庁法改正案が「採決見送り(継続審議)」となり、激動の一日となりました。
野党5党首らネット会見 検察庁法改正案の成立見送りで(NHKニュース)
私も本法案には反対の立場でしたので、廃案ではないものの、まずは秋まで議論をする時間ができたことは良かったと思います。
やはり「土日」を挟むことは永田町政治にとって鬼門の一つで、結果として先週末に採決まで出来なかったことが政府与党にとって致命傷になりました。
古くは自民党内で「加藤の乱」が発生した際、不信任案提出のタイミングで週末を跨いでしまったことで、その間に次々と切り崩しにあい鎮圧されてしまったことが有名です。
今回の場合は勿論、対立陣営から切り崩しがあったというより、シンプルに日に日に高まる世論の反発に総理・与党議員が耐えられなくなったことが大きいと思います。
しかしながら、単に世論の反発が大きいだけなら、採決が見送りになることはないはずです。
橋下徹氏が指摘するように、平和安全法制や特定秘密保護法などでも、世論からは大きな批判が巻き起こりました。これに対して賛成側は強い信念を持ち、賛成の理由を明確に述べて前に突き進みました。
ところが今回は、肝心の法案提出者さえ
「時代の要請」
程度の理由しか述べることができず、与党議員からも「問題はない」というか弱い擁護の声は聞こえても、強く推進する意見がほとんど出なかったことが致命的だったと思います。
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では、これからやるべきことは何か。
今回、激しい議論が行われたことで、検察組織に対する世間の関心も高まったわけですから、これを奇貨として「検察改革」にも目を向けていくべきではないでしょうか。
特殊な立場にある検察には独立性が求められる反面、それが行き過ぎれば「独善」とも言える問題点が噴出します。
今の検察組織にだって非常に問題が大きいことは、今回の法案に強く反対している郷原弁護士も繰り返し述べているところです。
もしも今回、安倍総理が正面から「検察組織を改革するためには、人事で内閣がコントロールを強めることが必要だ」とある種の『大義』をもって挑んでいたなら、もちろん賛否両論は巻き起こったものの、また結果は違ったものになったかもしれません。
しかし、政府与党は立場を不鮮明にし、正面からの対決を避けた。これが今回の問題をこじらせた要因だったと思います。
とりわけ今回、検察OBが政治的声明を出したことには称賛の声が大きいですが、私はその危険性・独善性も同時に感じています。
もちろん検察改革を行うには、定年制度以外にも改正を検討すべき法律が複数あります。
そもそも現状の検察組織はいかなるものなのか。この改革に人事制度をもって行うのか、他の部分から手を付けるのか。
いずれにしてもこの問題から正面から取り組む機会として、秋の国会に向けてさらなる議論を深めていけるよう、私も引き続き検証を重ねていきたいと思います。
それでは、また明日。
編集部より:この記事は、参議院議員、音喜多駿氏(東京選挙区、日本維新の会)のブログ2020年5月18日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は音喜多駿ブログをご覧ください。