継続審議になった「検察庁法改正案」
政府・与党は5月18日、検察官の定年を引き上げる「検察庁法改正案」について、今国会での成立を断念することを決め、改正案は秋の臨時国会への継続審議となった。野党や世論の批判に加え、検察OBからの反発、さらには直近の内閣支持率の急落が影響したと思われる。
野党側の批判や政権に批判的な一部マスコミ報道などにより、新たに「特例」を設ける「検察庁法改正案」が、黒川東京高検検事長の定年延長問題と関連付けられ、多くの国民から改正の動機が「不純」であると思われたことが、政府・与党には打撃であった。
堀江貴文氏の「検察批判」
しかし、堀江貴文氏は自身のYouTube動画に投稿し、今回の検察官定年延長問題に関して、「何一つ民主的プロセスを経ないで権力を手にした検察官を正義の味方と信用していることが問題」と述べ、検察官の起訴独占主義、強大な独自捜査権限、人質司法を厳しく批判している(参照「スポニチ」)。
以上の正当な指摘を本来は野党も認識すべきなのである。
筆者は堀江氏に全く同感である(5月17日付けアゴラ掲載拙稿「元検察最高幹部らの反対表明は検察既得権益の死守」参照)。とりわけ、自白するまでいつまでも身柄を拘束する「人質司法」は、重大な人権侵害であるのみならず、自白強要の手段とされ冤罪の温床になっており、一刻も早く禁止廃絶されなければならない。
野党の批判攻撃は的外れ
これまで、立憲、国民、共産などの野党は、黒川東京高検検事長の「定年延長閣議決定」や「検察庁法改正法案」は、安倍政権が政権に近いとされる黒川氏を次期検事総長に据え、「森友」「加計」「桜」「河井案里事件」などを「もみ消す」ためのものであるなどと安倍政権を強く批判攻撃してきた。
しかし、このような野党の批判攻撃はいずれも的外れである。なぜなら、「森友」は大阪地検の不起訴処分ですでに決着がついている(4月2日付けアゴラ掲載拙稿「森友問題再調査の必要性はない」参照)。「加計」は贈収賄等の刑事事件ではない。「桜」は下記の通り法的な「違法性」はない。「河井杏里事件」は現在広島地検で捜査中である。
犯罪事実が到底成立しない「桜を見る会」騒動
「桜を見る会」騒動の実態は、2月9日付けアゴラ掲載拙稿「犯罪事実は到底成立しない「桜を見る会」騒動」で詳述した通りである。
特段の功績者・功労者に限らず、芸能人や大相撲、スポーツ選手らを含め、後援会員らの招待は他の政権でも長年の慣行・慣例であったから、多数の地元後援会員らの招待は、公選法違反の「寄付」「買収」には該当せず特段の可罰的違法性はない。増大した経費は国会の決算委員会でも承認されている。
前夜祭についても、ホテル設定会費5,000円が特段の違法・不当であることの証明は存在しないから、公選法違反の「寄付」「買収」「贈収賄」等の犯罪は成立しない。
また、領収書は長年ホテル名義で発行され、安倍事務所側はホテル側の会費集金を代行したに過ぎず、「収支」が発生していないから政治資金規正法違反の「収支報告書不記載」成立の余地はない。
誰が検事総長でも「桜を見る会」は法的に無罪
このように、「桜を見る会」は法的に公選法違反や政治資金規正法違反等の犯罪が成立する余地はない。全国の反安倍の弁護士集団500名が近日、安倍首相を「公選法違反」「政治資金規正法違反」等の容疑で東京地検に刑事告発する動きがあるが、上記の通り、法と証拠に基づき、到底犯罪が成立しない以上は、誰が検事総長でも「無罪」であり「不起訴処分」以外にはあり得ない。
よって、安倍首相は、誰が検事総長であれ、反安倍弁護士集団による上記刑事告発を恐れる必要は全くない。