今朝の新聞に、経済産業省が一面広告を出していました。「持続化給付金」について、ネットで申請出来ない人のための窓口での対応方法の案内です。
持続化給付金とは、「感染症拡大により、営業自粛等により特に大きな影響を受ける事業者に対して、事業の継続を支え、再起の糧としていただくため、事業全般に広く使える給付金を給付」する制度です。
売上が前年同月比で半減した場合、その減少額の1年分を法人の場合は最大200万円、個人事業主でも100万円まで給付してもらえます。
売上が減少して困っている人にとってはとてもありがたい制度です。しかし、単月の売上をその前の1年と比較するという方法だと、たまたまその月の売上が落ちたという場合であっても、支給の対象になってしまいます。
また、複数の会社を経営している人は、それぞれの会社で申請することが可能になります。もし、5社保有していれば、最大1000万円が支給されることになります。
審査をしていると間に合わないので、時間優先で進めたいという考え方は理解できますが、果たして本当に困っている人に必要な資金が届くのでしょうか。経済活動が円滑に進むようにサポートするのは政府の役目ではありますが、いわゆる「ゾンビ企業」の延命になってしまうと、日本経済全体にマイナスになります。
もう1つの疑問は、支給された給付金は最終的に誰が負担するかです。経済産業省の支給制度ですから、最終的には国のお金です。つまり、国民の税金から賄われることになりますが、どのような財源を充てるのでしょうか。増税になって負担が増えることになれば、最終的には国民の間での「富の再配分」に終わってしまいます。
この持続化給付金に限らず、コロナショックに対応する財政支出に関しては、経済対策ありきでその財源についての議論が後回しになっているのが、とても気になります。
日本政府の矢継ぎ早の対策によって、目先の経済活動は何とかサポートされているようです。しかし、そのツケは将来、何倍にも大きくなって跳ね返ってこないか。大盤振る舞いの後にやってくる日本経済の更なる悪化が、今からとても心配です。
編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2020年5月20日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。