私たちが生きている社会に、まずは関心を持つこと

今国会で審議になっていた、これ先週もやりましたけれども、国家公務員法改正案そして検察庁法改正案が継続審議になりました。

先週、きゃりーぱみゅぱみゅさんの話をして、「芸能人が意見を表明することはいいことだ」と言いました。けれども、これが政治的な誘導や政策決定過程の手法に使われるということには要注意だと私は思います。そもそも芸能人だろうが誰だろうか、賛成意見も反対意見もあっていいわけです。その中で、相手の意見の否定が人格の否定に繋げないことも大事だと思います。賛否を明らかにするのもありですし、意見を言わないのもありだと思います。

この間の日曜日にフジテレビ系のワイドナショーというテレビ番組の中で、元AKBの指原莉乃さんが「私はそこまでの信条を持てなかったのでつぶやかなかった」「私はまだそこまでの、固い信念を持つほど勉強できてなかった」とコメントしました。これは私一つの見識だと思います。ところが、これに対して「だんまりはイコール賛成です」という決めつけ的な批判的なツイートですけれども、意見を言うのも大事だけれども言わないのも見識であって、それを否定するのはいかがなものかと思います。

それでも指原さんは関心を持っていたということでもあると思うし、関心を持つことが私は一番大事だと思います。皆さん関心持ってってつくづく思うんですね。だって我々が住んでい0る社会じゃないですか。

私も色々なところで、色々な事を聞かれる人生ですけれども、はっきり言ってわからないこといっぱいあります。そういう時は、「その件については私はわからないですね」とお答えする時もありますし、あるいは「断片的な情報しか持っていませんけれども、仮にそれが本当ならば、×××××だと思いますよ」といった答え方をすることもあります。

正直、今目の前で動いてる政治を根詰めて勉強する必要はないと思います。日々、関心だけ払っておけば、そのことについての情報が色々なところで繋がってきます。それが自分のちょっとした意見を形成し、それを人に言ってみると、今度はそれに対して反応が返ってきます。同時に、新たな情報も入ってきて、また繋がっていき、やがて自分の見識になってくると思います。そうした繰り返しは大変な日々ではないし、根詰めた勉強でもないし、大変なことでもありません。日々、自然の中でいろんなことが身についてくると思います。

ところでこの警察庁法改正案については、昨日のデイリースポーツ、そしてネットにも私のインタビューが出ています。

「今までわずか3行だったものを30倍の90行くらいに改正しようとしている」ということですが、もちろん問題なのは字数はなくその中身ですね。記事の中には反映されてませんでしたけど、インタビューの中で私はこう言いました。

「はっきり言って検察の人事を内閣が好き勝手にすることはできない」

そもそも全ての省庁の人事は内閣が任命するものだらけです。そして法務省の人事も含めてみんなその省庁から人事案が内閣に上がってくるんです。

私は官邸が指示した訳ではなく、法務省内部から上がってきた法務省案だと99%思います。

そして人事案について法務省から上がってきたものを、ときの政府が自分たちの都合よく変えるということをやったらどうなるか、相当不興を買うことになるでしょうね。これ他のポストと違って検察です。野党をはじめ、批判は内閣への忖度ばかり言っていま。けれども、この場合は検察の内閣への反感になります。はっきり言って、内閣が一線を超えれば、検察が線を引く、もしかしたら一戦を交えることになるかもしれません。


編集部より:この記事は、前横浜市長、元衆議院議員の中田宏氏の公式ブログ 2020年5月21日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。