WHO総会そして台湾の総統就任式

鈴木 馨祐

今週はWHO総会(5/18)、総統就任式(5/20)と、台湾に関する出来事が続いています。

台湾という自由な社会において、民主的な選挙の結果、蔡英文総統・頼清徳副総統が選出され、就任されたことに、改めて敬意と祝意を表させていただきたいと思います。

蔡英文台湾総統(台湾総統府HPより:編集部)

台湾は安倍総理も明言されているように、我が国にとって「基本的な価値観を共有する重要なパートナーであり、大切な友人」です。さらに言えば、災害時の双方向の様々なレベルでの支援や人の往来、経済的な結びつきの強さに見られるように、日台双方がきわめて強い親近感を抱いていると同時に、隣り合って位置し、かつ挑発行為を続ける中国という強大な軍事独裁国家の脅威に共に直面しており、まさにお互いが生命線という意味で一蓮托生といってもいい関係でもあります。

世界でも稀に見る非常に厳しい安全保障環境に直面している我が国にとって、国益という観点からも、隣に台湾が存在していることの意義は計り知れないものがあります。今、我々が再認識しなくてはならないのは、台湾の安全と日台関係の強化は、感情的・情緒的(emotional)な意味だけではなく、むしろ現実的(realistic/pragmatic)な観点からも我が国とって非常に重要であるということです。

今週総会があり、今回の中国で発生した新型コロナウィルスにより多くの方が知ることとなった「WHO」のみならず、国際航空を司る「ICAO」など他の国際機関に於いても、台湾が参加するステータスを中国によって妨害されていることは、我が国のみならず国際的な平和や安全にとって実質的な大きなリスクです。

WHOに関していえば、我々が再三にわたって行動し主張してきたように、今回の総会において、中国で発生した新型コロナウィルス感染症の収束を行った好事例として台湾の教訓や経験を世界が共有することができれば、それは極めて重要な意義を世界の人々の生命や健康にもたらしたはずです。

2000万人以上の人口を擁する民主主義の社会であり、かつ中国と隣接しながら、早期に封じ込めに成功した台湾の教訓を世界で共有できなかったことは、将にWHOが事務局を含め共産党一党独裁の軍事大国である中国の政治的思惑に振り回された結果であり、この点については科学的アプローチが求められる専門機関でありながら、人命や健康、科学よりも特定国の政治的思惑を重視したと言われてもやむを得ない振る舞いであり、猛省を促すことが必要です。

WHOトップ、テドロス事務局長(WHOサイトより編集部引用)

ICAOについてもそうですが、2000万人以上の人口を擁する台湾に隣接する我が国は、将に中国の政治意図により作られた地理的空白の様々なリスクに直面する当事者であり、最も被害を受ける立場でもあるわけで、我が国の国民や我が国に滞在する方々の安全や安心という人道的見地からも中国の横暴と国際機関の事務局の無作為を容認することは出来ません。

また、安全保障面についても、新型コロナの影響で航空母艦など米軍のオペレーションが影響を受けていると報道もされている状況下において、東シナ海や台湾海峡、南シナ海の平和的な安定は我が国の安全保障上極めて重要です。そのことは、中国軍が我が国の尖閣において領海侵犯を繰り返し、宮古水道や台湾周辺などでの軍事的な挑発行動を繰り返していることからも逆説的に明らかです。

島国であり、経済や日常生活において貿易に頼らざるを得ない我が国の構造を考えれば、まさに台湾との関係は我が国の安全保障上も生命線と言っても過言ではありません。

このような台湾において、民主主義的な選挙が何度も安定的に行われ、平和裏に政権交代が繰り返されていること、そして社会として自由、民主主義、人権、法の支配、航行の自由等の価値を共有しているということは日本にとっても何物にも代え難い財産です。少なくとも日本としてはこのような自由な社会に暮らす人々が、共産党一党独裁の軍事大国に蹂躙されるようなことは断じて許容することは出来ません。

こうした認識のもと、外務副大臣として、我が国の国益を守ることをその責務とする外交の一端を預かる者として、その責務を認識して今後とも厳しい環境の中で我が国の国益を守るべく全力で頑張ってまいります。


編集部より:この記事は、外務副大臣、衆議院議員の鈴木馨祐氏(神奈川7区)のブログ2020年5月21日の投稿を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は「政治家  鈴木けいすけの国政日々雑感」をご覧ください。