今回の新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、企業は働き方を様々に見直しています。その代表的なものはテレワーク・在宅勤務ですね。それ以外にも、時差出勤や変形労働時間制などがあります。実は週休3日制は変形労働時間制の一つです。その週休3日制で先日大きく報道されたのは東芝です。東芝は6月以降、国内の製造現場を対象に出社する日の勤務時間を増やすことで労働時間の合計は変えずに、従来より休日を週1日増やす週休3日制を導入する方針を固めたました。勤務総時間は変わりませんから給料も変わりません。
新型コロナウイルスの対策として完全に終息するというタイミングまでがひとつの目安として始めます。そのあとは、各職場の方々にとって週休3日制がいいのか、従来通り5日働くのが良いのかをしっかり考えるとのことです。一方で在宅勤務ができる職場については、「今後おそらく在宅勤務が普通の働き方に変わっていき、ある意味“在宅勤務が当然”という風に変わっていくことになると」もインタビューで答えていました。
実はコロナ以前から週休3日制はじわじわ始まっていました。例えばユニクロでは、地域正社員が1日10時間×土日を含む週4日の勤務、お休みは週に3日、平日に取得することで、通常のフルタイム勤務(8時間×5日=週40時間)と同額の給与を支給する週休3日が選べるような勤務体系になっていますし、佐川急便やヤフーなどでも実施されています。女性の下着で有名なワコール、半導体製造のルネサスエレクトロニクス、そしてSMBC日興証券などの週休3日制の導入を決めています。また宮城県は、県内の介護施設の職員の週休3日の実現を目指していくとして、すでに5つの施設でモデル事業として実施しています。
では週休3日制の何がいいのか、それは休みが1日増えるというのは働く側にとって良いと言えますけれども、企業としては経営が成り立たなかったり、経済として回らなくなったりということでは、これ身も蓋もありません。その意味では、やはり週休3日制の目指す目標の一つは生産性の向上ということです。海外でも実は週休3日制の取り組みが始まっていますが、その前提を生産性の向上、すなわち勤務4日で成果を上げるということです。
実は昭和40年4月に松下電器産業(現パナソニック)が日本初の週休二日制を導入してから、日本でも週休2日制がどんどん取り入れられてきた昭和50年代すなわち今から45年前ぐらいのときには、やはり生産性を高めることによって休みを2日にするということになっていったわけです。海外で週休3日制が進み、生産性が向上していけば、ますます日本は生産性の低い国になってしまいます。
それだけではなく、生産性と考えるとどうしても経済合理性というふうに考えてしまいますが、会社と従業員のエンゲージメント、すなわち結びつきというものがもっと強くなったり、当然プライベートの時間が増えますから、生活や人生の豊かさにもつながります。
イギリスの調査では週休3日制について世代ごとに魅力が違います。例えば、ベビーブーマー世代(1946年~1964年の間に生まれた世代)には、若いときよりもゆっくりと働きたいという願望、X世代(1960年代から1980年代初頭までに生まれた世代)には、介護との両立ができる。また、ミレニアル世代(1980年から1995年の間に生まれた世代)には子育との両立があり、Z世代(1996年から2015年の間に生まれた世代)には、副業や趣味に時間を使いたいというように、違いがあるわけです。
リーマンショックや東日本大震災などをきっかけに世の中のマインドは変わりました。一言で言うと、派手なことや贅沢、快楽などに対するマインドが下がり、人生を楽しむいわばスローライフのようなものに対する願望が高まりました。ここ十数年でそういったマインドが積み重なってきたところに、今回の新型コロナウイルスですね。
はっきり言いましょう。
今回のコロナウイルスによってそうしたマインドは全世界的、そして日本国中にもっと高く積もっていきます。生き方、働き方がかなり大きく変化していくでしょう。ですから、週休3日制はアフターコロナに定着する可能性大です。
編集部より:この記事は、前横浜市長、元衆議院議員の中田宏氏の公式ブログ 2020年5月27日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。