イスラエルのIAIがATVメーカーを買収

5月20日付けのJane’s Defence Weeklyによると、イスラエルのIAIは、ATV(全地形対応車)、Zファミリーの製造権を買い取る計画のようです。

アメリカ陸軍のATV(Wikipediaより)

最近川重もやっと自社のATVの軍用に目覚めてきましたが、民間用を軍用にするためのノウハウがありません。であれば、IAIのように専業メーカーを買い取るか、提携をするべきだと思います。

提携するならば、個人的には英国のジャンケル社あたりがよろしいかと思います。同社は、試作は英国、生産はヨルダンのKADDBとの合弁で、ヨルダンで行っています。同社はこのため中東に拠点があって製造コストも安い、という強みがあります。

すでに川重のバイクは世界の軍警察で相当使用されています。「汎用車輌」を売るのだからあまり世論からも叩かれないでしょう。何よりすでにセールスとアフターサービス網が世界にあるわけです。またC-2やP-1といった航空機を売るより遥かに容易です。

最近は偵察目的でATVに電動バイクを搭載する提案が増えています。電動バイクは静粛さがメリットですが、航続距離が短い。これを補うためです。またバイク用のガソリン燃料が必要なくなるという兵站上のメリットもあります。また、バイクと味方部隊への無線の中継も期待できます。

ATVに合わせてマイクロUAV(無人機)やマイクロUGV(無人車輌)を搭載すればISR(情報・監視・偵察)能力は更に上がるでしょう。

陸自ではバイクの充足率もかなり低い状態が続いてきました。それが近年改善されたかどうか不明です。とてもATVを導入できる環境ではないかもしれません。

ですが、ATVの導入は世界の軍隊の趨勢です。きちんと海外の動向を調べるべきです。

Japan In Depthに以下の記事を寄稿しました。

European Security & Defence に以下の記事を寄稿しました。
Hitachi wins Japanese bulldozer contract

東洋経済オンラインに以下の記事を寄稿しました。


編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2020年6月4日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。