コロナウイルス感染者数が留まることなく拡大しているブラジルで、ボルソナロ大統領は相変わらず経済優先を主張して、封鎖には反対している。封鎖の必要性を主張している各州の知事や専門家とも対立。ルラ元大統領もボルソナロを厳しく批判して「ジェノサイドを招くようになる。ブラジル国民がそれを回避できるように私は祈っている」とAFP通信に語った。
南米のパンデミアの中心地となってしまったブラジルの今後に非常に強い不安を抱いているのが、隣国のパラグアイだ。嘗て、日本から南米に移住するのにブラジルの次に移住が勧められたのがパラグアイであった。人口僅か700万人に満たない国で、国土面積は日本よりも少し広く40.6万平方キロメートル。今も南米で唯一、台湾と国交を維持している国だ。
そのパラグアイで、5月13日の現地紙『EL LITORAL』によると、740人の感染者が確認されたが、その内の74%がブラジルからの帰国者だったということが判明していることを報じた。それまでの死者は11人。
パラグアイにおけるコロナ感染者は少ない。しかし、パラグアイは経済的にブラジルへの依存度が高く、ブラジルに出稼ぎに行っていた多くの者が、ブラジルのコロナ感染拡大で帰国している。その帰国者の多くが若者で、彼らに症状はないが、感染している可能性が大きいと政府は見ている。
現在、パラグアイはブラジルとの国境は閉鎖しているが、何しろ1300キロもある両国の国境を完璧に閉鎖するのは不可能である。よって、ブラジルからパラグアイへのコントロールを避けた人の移動が発生している。その意味で、ブラジル国内で感染が拡大し続けていることにパラグアイ政府のフリオ・マツォレニ保健省は強い不安を抱いているという。
政府は3月23日から帰国者には42か所で14日間の隔離生活を義務づけている。それを8割の帰国者が守っているそうだ。ところが、今後2万5000人程度が帰国を望んでいるというが、彼らを隔離する場所がない。ホテルも協力体制にはあるが、その場合は宿泊費用を帰国者が負担することになるため事態は容易ではない。(参照:infobae.com)
パラグアイで最初にコロナ感染者が確認されたのは、3月7日であった。マリオ・アブド・ベニテス大統領はブラジルの感染進行の速さをお手本として観察していたことから、早速対応措置を取った。封鎖の最初のステップは5月末に終わるとされていたが、次のステップに移行するか否かについてはまだ決定していないという。
しかし、最近5日間で感染者は12%増加しているという。(参照:dw.com)
封鎖を批判し経済優先に走ろうとしている隣国ボルソナロ大統領の方針にパラグアイはとんだ迷惑を被っているのが現状だ。