6月2日。私、小野泰輔は、7月の東京都知事選挙に立候補することを表明しました。
誰から背中を押されたわけでもなく、たった一人での決断。後援会も支援団体もなし。立ち上がった理由は、東京のトップを決める大切な選挙が、何の論戦もないまま終わってよいのかということでした。
現在、わが国は東京を中心として、新型コロナウイルスの脅威にさらされています。感染拡大リスクは依然存在し、また日々の生活は制約を受け、商売をしている方は明日をも乗り切れるのか不安を抱えています。この危機を、データに基づき科学的に、そして経済・社会問題解決の視点(生活困窮問題、ビジネスモデル転換)も入れて乗り越えなければなりません。
そして、コロナ禍によってわが国の社会・経済は否応なく変化することを求められています。密にならず、感染者を爆発させない暮らし方に合った都市への変容をどうするか。交通、働き方、学校・教育のあり方など、課題は山積しています。また、世界中で感染がまだ拡大し続けている中、インバウンドに過度に依存しない観光都市としての東京をどう立て直すか。
コロナ以前の問題にも取り組む必要があります。まったく改善の兆しが見えない東京への過度な人口集中。これは私が熊本県で副知事をしていたときに懸命に取り組んできた、地方創生の問題の裏返しです。東京と地方の人々が活発に行き来をし、モノ・情報・資金が循環すれば、疲弊する地方も元気になり、東京も過密を避けられ、安全で住みよい都市となるでしょう。
また、東京を世界一のビジネスセンターとして成長、発展させるための取り組みも必要です。優秀な人材が集まり、革新的なビジネスが次々と生み出される環境を行政として整備する必要があります。
さらに、コロナ禍の対応のため放置してはならないのは、首都直下型地震への対応です。最低限命を守る対策や、老朽化したインフラの維持、避難体制の整備。私も熊本地震に直面し、復旧・創造的復興に取り組みましたが、東京で震度7が2回起きれば、その被害の大きさと復旧の困難さは比較になりません。副知事として行政のトップで災害対応を経験した者として、明日来るかもしれない災害に迅速に備えます。
これだけの難題を抱え、この選挙で何も議論されないまま終わるのを、私は1人の国民として、そして、東京に生まれ、長く住んだ者として、行動しないわけにはいかないと考えました。
既存の政党は、人気の高い現職に対抗馬を出すことをためらい続けました。政治家とは、自らの信念に基づき、わが身を顧みず行動すべきものなのではないでしょうか。プロの政治家ができないのであれば、自分がやるしかない。そこにしか東京と日本の希望はない。そう信じて、今回、私は自分自身で、立ち上がることを決めました。
これから先は、私が触媒となり、都民の皆さんが本気で東京の課題と将来について考えるきっかけを提供し、それをもとに、来たる7月5日に次の東京のトップを決めていただきたいと考えています。そのために、私は最後まで全力で駆け抜けます!
小野 泰輔 前熊本県副知事、東京都知事選 候補予定者
1974年、東京・目黒生まれ。東京大学法学部卒業後、アンダーセンコンサルティング入社(現アクセンチュア株式会社)。その後、衆議院議員秘書などを経て2008年から大学時代の恩師、蒲島郁夫・熊本県知事の下で熊本県政策参与。12年から熊本県副知事。2020年6月、副知事を退任し、東京都知事選に出馬表明。