北朝鮮 金与正氏の韓国への「口撃」

岡本 裕明

韓国国内の話題のニュースはこのところ尹美香議員の正義連不正支出問題と対北朝鮮問題が主流を占めているようです。尹美香議員の問題についてはこのところ、日本のワイドショーあたりでもいろいろ報じているのでそれなりに興味深くみている方もいらっしゃるでしょう。わたしがやや驚きをもってみたのはテレビ朝日が昼のニュース番組で尹美香議員をかなり厳しく責め立てていたのに「おや?」という感じを持ちました。

(金与正氏、韓国大統領府HPから:編集部)

(金与正氏、韓国大統領府HPから:編集部)

さて、今日はもう一つの話題である北朝鮮と韓国の関係についてやや気になるので考えてみたいと思います。ずばり、何が気になるかいえば金正恩氏の存在感が下がっていることと金与正氏が表舞台に立ち始めている点であります。

金正恩氏は一時期健康不安説から死亡説まであったもののひょっこり現れ、それまでの噂を一掃した形になったのですが、私はどうも引っかかると記させて頂きました。その後も時折姿を見せますが、3週間ぐらい表舞台に出てこなくなったりしており、明らかに2500万人の国の大将とは思えない状況にあります。併せて健康不安説の際にささやかれた最有力後継者である正恩氏の妹であり31歳の与正氏がここにきてやや幅を利かせているように感じるのです。

韓国と北朝鮮のいざこざの発端は韓国在住の脱北者が北朝鮮に向けて体制批判のビラを大量に撒いたことに端を発します。これに強く反応したのが与正氏で南北間のホットラインを断絶、開城工業団地の完全撤去や南北軍事合意の破棄の検討といった対策を次々と打ち出し産経は「今後、軍事的措置が起こり得ることを示唆」とも報じています。

ここで腰が引けたのが文大統領。脱北者の団体がビラ巻き行為をすることを厳しく取り締まりを指示しています。ただ、これに対して韓国世論のみならず世界から疑問の声が出ており、「なぜ北朝鮮にそこまですり寄らねばならないのだ」という文大統領への姿勢への疑問はより深まっている感じであります。

ところで金与正氏を含む北朝鮮の口汚さは寛容の度を超えるものがあります。朝鮮日報によると北朝鮮の戦略の一つで悪口担当部署があり、韓国向けとアメリカ向けはセクションが違うとされています。アメリカ向けについては18年のシンガポールでの米朝首脳会談を前にペンス副大統領に「鈍いまぬけ」と称し、会談が流れかけたことがあるため、現在はアメリカ向けは悪口は抑えているとされます。ただ、かつてはオバマ前大統領のことを「アフリカの猿」と言ったこともあるようでとにかく強烈であります。

韓国向けの悪口については更に度が過ぎており、ここに紹介するのがはばかれるものもあります。例えば朴槿恵前大統領のことを「政治娼婦」「民族売淫婦」「子供も産めない」「米国慰安婦」…という具合です。文大統領の光復説演説には「ゆでた牛の頭が笑う」と言っています。米韓軍事演習の名称から同盟を取った際には「糞をひっても(=放っても)花の風呂敷で包めば悪臭が出ないとでもいうのか」などなど…。

私が思う金与正氏の直感的な性格は非常に勝ち気で強気、コントロールが効かないタイプに見え、仮に金正恩氏が与正氏に代行をさせるなら相手のはらわたが煮えくり返る程の無謀な行為を平気で行うように見え、個人的には正恩氏よりはるかに扱いにくい存在になるとみています。

半島系の強い性格の女性をご存知であれば常識がたやすく覆すようなことが起こりうることは想像できるでしょう。そしてブレーキの利かない爆走機関車ですので例えば上述の尹美香議員も自殺した女性の慰安婦施設所長をあごで使って精神的に追い詰めた可能性は大いにあるとみています。文大統領が与正氏の「激怒」に対して平身低頭で対応しているのは怒らせると想定外のことが起こりかねないということを肌身をもって知っているからであろうと察しています。

情報が開示される時代において汚くののしる「口撃」と金与正氏の行動は不必要な地雷を踏む可能性も否定できず、与正氏が国政も世界基準についても素人同然である以上、想定外の事態は常に念頭に置いておいた方がよいのかもしれません。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2020年6月15日の記事より転載させていただきました。