愛知県の大村秀章知事のリコール(公職者をやめさせること)運動が巻き起こっています。旗振り役は、美容外科で有名なイエス高須クリニックの高須克弥院長です。
高須氏は昨年の愛知トリエンナーレ2019に対して、「英霊を辱めるような作品を芸術作品として、我々が払った税金から補助を与えるということ、それが一番許せないこと」「国にとって恥ずかしい、愛知県民にとって恥ずかしい。そういうようなことをしてくれる知事は支持できない」と理由を挙げています。著名な賛同者には作家の百田尚樹氏、作家の竹田恒泰氏、中部大特任教授の武田邦彦氏、ジャーナリストの有本香氏、名古屋の河村たかし市長、そして大阪府の吉村洋文知事もなぜか応援すると言っています。
愛知トリエンナーレについては以前、ブログにしました。いわば「表現の自由」と「公共の福祉」、日本国憲法第21条と12条という論点から私は皆さんに説明しました。いずれも憲法の重要なポイントで、当然私はどちらも重要だと考えますけれども、芸術祭芸術を利用して政治的プロパガンダをすることには吐き気を覚えます。
※関連記事 捏造された国際問題が芸術だと(怒)2019.10.04
それでも「表現の自由」なんだと100歩譲って認めたとしても、公共の場でやるべきではないと考えます。愛知トリエンナーレでも慰安婦像が問題になりましたけれども、慰安婦については解釈の問題ではなく、嘘、捏造です。慰安婦というふうに今は呼ばれているその当時の売春婦はいました。私はこれまでに何度もお伝えしてきましたけれども、売春を肯定しているわけではありませんが、無理やり拉致して強制的に売春させたわけではありません。それなのに韓国の思想的反日市民運動家があたかも事実かのように言いふらし、それに抗しきれな日本政府、さらには韓国の現政権も思想的にこれを外交上の問題にしているわけです。
※関連記事 もういい加減にして!我々を巻き込まないで!【日韓軍事包括協定延長】2019.11.27
話を元に戻して愛知トリエンナーレだけでリコール運動に発展したかどうか私はわかりませんけれども、ここのところの大村知事は色んな物議を醸してます。例えば先月28日にこんな発言しています。「間違いなく大阪と東京は医療崩壊の状態にあった。事実関係を検証し、二度とそうならないようにやって頂くのが必要ではないか。日本の要の地域ですから頑張っていただきたい」と東京都と大阪府に言っています。
まず医療崩壊という事実認識の是非、そして他の自治体に対しての発言是非ですね。これに対して東京都の小池都知事は「ほかの自治体の方がどうおっしゃるのかについて、一つ一つお答えする気はない。東京に集中したい」としてもう無視です。大阪府の吉村知事は「大阪で医療崩壊は起きていません。何を根拠に言っているのか全く不明です。受け入れてくれた大阪の医療関係者に対しても失礼な話です。東京もそうですが」と反論しましたけれども、「大村氏は何の根拠でおっしゃったのか。医療状態が逼迫(ひっぱく)したのは事実だが、きちんとみなきゃいけない人を医療崩壊して治療ができなかったとかが起きたわけではない。理解不能なので、あまり相手にせんとこうと思っています」と小池さんを見習うとしてその後沈静化しました。
また政府が緊急事態宣言を出す前の4月2日、政府の専門家会議の尾身茂副座長が「特に東京、神奈川、愛知、大阪、兵庫の5県は人口集中都市を有することから医療供給体制が切迫しており、今日明日にでも抜本的な対策を講じる必要があると思います」と注意喚起をしたことがありました。もちろんこれは全国に向けた発言ですが、これに対して、「何言っているんだ」と猛反論し「事実と違い迷惑」と述べて危機感のなさが批判されました。
過去に市長のリコールが成立したことはありましたけれども、知事のリコールが成立したことはありません。リコールの用件は、有権者3分の1以上の署名(40万人を超えるときは、40万を超える数の6分の1と40万の3分の1を合計した数以上、80万人を超えるときは、80万を超える数の8分の1と40万の6分の1と40万の3分の1を合計した数以上)です。愛知県の場合は約86万5400人の署名が必要となります。
仮にそれを超える署名が集まった場合は愛知県の選挙管理委員会に解職請求が出き、住民投票が行われます。住民投票で賛成が過半数以上になれば知事の解職になります。高須氏は、リコールの署名集めを8月にスタートさせたいと言っているようです。
今年の夏、愛知県は全国で一番暑い夏になりそうです。
編集部より:この記事は、前横浜市長、元衆議院議員の中田宏氏の公式ブログ 2020年6月16日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。