愛知県江南市議会議員の東猴史紘です。
緊急事態宣言による小・中学校の休校による授業の遅れを取り戻すため、江南市は夏休みを短縮することで授業数の確保を目指す方針となりました。そこで保護者の間で焦点となっているのが夏の登下校中の熱中症対策です。
江南市は今年から小・中学校共にエアコンが整備されているのでこの点は安心なものの、生徒によっては30分以上も猛暑の中を歩くので有効な熱中症対策を求める声が高まりました。
具体的には保護者発で「小学校のスクールバス導入と中学校の自転車通学の解禁」を求める署名活動が行われました。結果、2000筆以上の署名が集まりこの様子は中日新聞やNHKで報道されたほどです。
私たちもそれ以前に会派を超えた有志議員で「小学生のスクールバス、マイカー送迎、中学生の自転車通学」を市長宛の要望書の中で求めました。これに対する市の回答としては、スクールバスは難しいものの「熱中症等が心配のご家庭には各自送迎して頂くことは可能と考えている」「自転車通学は保護者の申し出によって自転車を許可する」旨で財政厳しい江南市には現実的な対応だと感じました。
しかしその後、コロナ対策で取り崩したと誰もが思っていた江南市の財政調整基金が12億円に増えていたことが分かった後は空気が変わりました。財政調整基金とはいざという時のために市が蓄えておく資金のことです。例えば名古屋市はコロナ対策のために100億円→3億円まで取り崩しました。江南市は逆に増えていたのです。
さらに国から新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金が億単位で入ってくるとのことなので、今年の夏にのみスクールバスを導入することは予算的には十分可能であり、結局は市長のやる気の問題でした。市長宛の要望書なのに本人が受け取らなかったこともその姿勢に疑問が呈されました。
ただし、6月後半にバス会社に委託してルートや時間を決めて7月から導入となると時間的には難しかった可能性もあります。100歩譲ってスクールバス導入は難しかったとしても、私が市の熱中症対策への姿勢に疑問を抱いたのは小学生のマイカー送迎と中学生の自転車通学が許可されたことを事前に保護者に一斉メール等で通知するよう求めた時です。
市は頑なに一斉メールで告知することに難色を示しました。現場が混乱することが一番の理由でしょうが、しかし周知せずしてどうやって保護者はマイカー送迎と自転車通学が許可されたことを知り得るのでしょうか。特に今回はニュースにも取り上げられるほどの保護者によるスクールバスの署名運動で江南市が熱中症対策をどうするのか注目度が高いので、市はスクールバス導入が難しいならマイカー送迎と自転車通学が円滑に機能するように全力で取り組む姿勢を見せるべきでした。
しかし、私が担当者に
『マイカー送迎も自転車通学も一斉メールでの告知をしないということでありますが、事前に知らせなければ何も知らない保護者は引き続き炎天下の中、お子さんを徒歩による通学をさせることになります。「事前に教えてくれれば、マイカー送迎や自転車通学をさせていたのに。教えてくれなければ問い合わせしようがない。」というご家庭も出てくると思います。事前に市民に知らせてこそ、江南市の熱中症対策と言えると思うので一斉メールは必須と考えますがいかがですか』
と強めの要請をすることでやっと「各学校には保護者に対してメールを含め何らかの手段で改めてお知らせできるよう周知してまいります」という方針に転換しました。
このように、熱中症対策を巡って後ろ向きな対応が続いていたので、マイカー送迎や自転車通学に関して各学校がどういった形で周知するのか心配でたまりませんので、夏期間中の各学校がマイカー送迎に関して全保護者のうち何人に通知をしたのか、またその許可実績(問合せ件数、許可件数、不許可件数とその理由)を9月市議会前に議会へご提示頂くことを要望しました。
特に自転車通学に関して中学校によってOKだったり、NGだったり、学校ごとにバラバラのようなので、この点は、きちんと教育委員会で統一して自転車通学を認めて頂くよう強く要望しました。
また、同時にマイカー送迎に関して保護者による校門前までの送迎は事故の原因となるので避けて頂くようお願いすると共に、共働き家庭にとっては従来の朝8時から8時半の間での送迎は職場に間に合わなくなる可能性も高くなるので、できるだけ教員の皆さんには保護者の希望する時間帯で対応して頂くことも要望しました。
江南市のような消極的な対応は、もしかしたら全国でほかの自治体でも起きていたりしないか、参考になれば幸いです。
<現時点での江南市の熱中症対策>
×スクールバス
◯小学生のマイカー送迎※
◯中学生の自転車通学※
◯水筒にスポーツドリンク
◯体操服での登下校
◯日傘・ネッククーラー
※学校へ事前相談必要