6月17日に通常国会が終わった。武漢にてウィルス感染拡大が判明した直後1月20日からの国会であった。
開会してほどなく1月26日に、総理が武漢市から日本人救出を行うためにチャーター機を手配する方針を示し、1000人近い邦人を救出したが、問題が起こった。救出したはよいがすぐに帰宅させることができない。感染している場合を考慮して帰国者に一時宿泊してもらう場所が必要だったのだが、国内で全く手配できないという問題だ。この際、激務も重なり担当者の不幸もあった。唯一手を挙げてもらえたのがホテル三日月である。
そんなてんやわんやの中、2月3日、横浜に寄港するダイヤモンドプリンセス号の中に感染者がいることが判明した。今更クルーズ船を国外退去とすることはできるのか?いざ船内を検査する場合、乗客を降ろすべきなのか?船内にそのままにしておくことができるのか?
様々に検討された結果、宿泊してもらう場所が全くないことから、クルーズ船から下船させずに船内で感染の有無の検査と隔離措置を行う方針となった。
一連のダイヤモンドプリンセス号を巡る対応にはマスコミからひどく批判が出たけれど、多国籍の乗員乗客、ツアーの企画会社や船の船籍が日本とは異なる状況で、政府はよく対応したものと思う。その証拠に、ダイヤモンドプリンセス号が横浜を離れる際、船の電飾で感謝の意を盛大に表してくれた。加えて、駐日米国臨時代理大使からも感謝の意が表された。国内の報道では全く評価されなかった一方で、当事者や他国からは心から感謝されていた。現場で精一杯対応していただいた皆さんへのせめてもの慰めかと思う。
これまでも、これからも、政府や自治体、医療・福祉関係者をはじめ多くの方々が、先の見えない戦いに全力で向かっていることを皆さんにはあらためてご理解いただきたい。
初期対応、水際対策と一斉休校
水際対策では対応の遅さが指摘され、他方、2月27日に首相が要請した一斉休校では対応の唐突感から非難が多く寄せられた。水際対策は早めにやることに越したことはなく、ともすれば先の見えない中で、外交上の配慮を優先するよりも徹底的に国民を守る姿勢を理解いただくことが第一だと痛感した。
他方、一斉休校については、当初は学童保育に児童が集中し、かえって3密が発生して混乱が生じてしまった。しかし、時間の経過とともに皆さんにご理解いただけだものと思う。
こうした思い切った措置によって、国民の皆さんに危機感を共有していただき、3月中旬頃までの感染者数はぎりぎり何とか抑え込んでいたのだった。
欧米諸国からきた第二波、緊急事態宣言へ
世界では、中国での感染拡大を甘くみて放置した欧米諸国の感染者が爆発的に増加し始めていた。それに伴って、3月25日に全世界への渡航自粛を発した。入国禁止措置は順次拡大していたが、国民の感覚からすれば遅きに失し、実際、欧米から帰国する感染者が増え始めた。時同じくして国内で感染が抑制されたことに対する気の緩みも重なって、感染者がついに増え始めた。医療崩壊が医師会から叫ばれ、緊急事態宣言を出すべきとの声が高まっていった。
今国会で新型インフルエンザ特措法を改正する審議の最中に強く野党から主張されたのが、政府に強い権限を与えるべきではないとの議論である。政府はそれを見越して、現行法の枠組みを全く変えずに対象に新型コロナウィルスを加えただけの改正を行った。しかし、実際に小池都知事がロックダウンという単語を出すや否や、報道ぶりや一部国民から、欧米並の強い私権を制限することが可能な都市封鎖を求められるに至った。国会の審議とは打って変わって、突然、世論からより強硬な措置を求められるとは、政府も思わなかったはずだ。
ついに4月7日に緊急事態宣言が出されると、国民の皆さんからは忠実に厳密に自粛要請にご協力いただけた。諸外国からはなぜ自粛要請で禁止措置でもないのにここまで国民が協力するのかという声まで出てきた。
②へつづく
編集部より:この記事は、衆議院議員の鷲尾英一郎氏(新潟2区、自由民主党)の公式ブログ 2020年6月25日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は鷲尾英一郎の日記をご覧ください。