「いきなり!ステーキ」の生き残りに「健康志向」という視点を

内藤 忍

日本経済新聞の報道によれば、「いきなり!ステーキ」を展開するペッパーフードサービスは、主力事業の「ペッパーランチ」を投資ファンドに売却すると発表しました。売却資金で、いきなり!ステーキを立て直す戦略と見られています。

2019年12月期のペッパーランチの売上高は全体の1割程度に過ぎません。いきなり!ステーキは、売り上げは、その7倍の571億円にもかかわらず、ペッパーランチの方が収益性が高くなっています。

これは、いきなり!ステーキの原価率が高いことが原因です。

そんな中、ステーキ事業の競争環境は、さらに厳しくなっています。沖縄のステーキチェーン「やっぱりステーキ」は、客単価千円程度で全国展開を始めました。牛丼の松屋も、去年から低価格ステーキ事業を開始しています。

価格競争に巻き込まれ、利益の薄い事業をこのまま続いていても、更に薄利になる、店舗閉鎖で縮小均衡に陥ってしまうことでしょう。

そうならない為には、今までの肉好きの既存客だけではなく、新たな顧客開拓が必要だと思います。それは、健康志向の人たちです。

来店客を見ていると、ライスを注文しない糖質制限している人が意外に多いことがわかります。

私もライスは食べないで、サラダを注文しますが、残念なのは、ステーキのクオリティに比べ、サラダにこだわりが感じられないことです。

ランチのステーキに2000円以上払って、糖質制限している人は、高品質のサラダなら、高くても注文すると思います。

自前で新鮮な野菜を調達できないのであれば提携すれば良いのです。例えば、都内で新鮮な生野菜を提供している、クリスプサラダワークスや、WE ARE THE FARM などと提携して、ステーキ&サラダを提供するのは、どうでしょうか。

ステーキもサラダも高いクオリティで提供すれば、低価格のステーキ店と差別化できます。

「いきなり!ステーキ」から、「いきなり!ステーキ&サラダ」へ。

これは私の素人考えかもしれません。しかし、サラダに限らず、ステーキに新たな食材を組み合わせなければ、新しいマーケットは開拓できません。新しい付加価値を見つけ出して、何とか生き残って欲しいものです。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2020年7月5日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。