今週のつぶやき:夏休みモードの株式市場、迷走Go to、G7への期待

藤井聡太7段が渡辺明棋聖を制しました。以前から言われている藤井7段の異次元の指し方とは定跡という戦法の枠組みを超えたのでしょう。これは将棋の世界に限らず、世の中すべてのことに当てはまるかもしれません。「過去に倣う」という時代ではないのです。「前例がない」ではダメなのです。道なき道を行き、桃源郷に達するために孤独の道を歩み、17歳11カ月にしての快挙、大したものです。

では今週のつぶやきをお送りします。

夏休みモードの株式市場

今年の夏休みはバケーションモードにならないので案外、市場は活発化と思いきや、ここにきて取引ボリュームが下がり、方向感がなくなってきています。気になるのは市場を引っ張ってきたナスダックで13日に高値をつけた後、5%ほど下げ、若干戻した後ヨコヨコの動きとなっている点でしょうか?いわゆる市場のけん引役でハイテクやIT関連株が面白いように上がってきたこともあり、利益確定の後の買い上げるエネルギーが欠如しています。

東京市場も三角持ち合いに近いチャートになっていますが、かろうじて上向きを継続してます。ただ、すでにひと月ぐらいもみ合っていますのでそろそろどちらかに抜けてもおかしくないのですが、ネタ切れという感じがいたします。ただ、アメリカにしろ、日本にしろ、4-6月の決算発表が始まっていますのでその状況次第で喜怒哀楽が見られ、現在はおおむね、決算の方向感を探るのがあと2-3週間続くのかと思います。

16日引け後に発表したネットフリックスの決算は売上は前年同期比25%増、利益に至っては2.7倍にもなっているのに事前予想に届かなかったため大きく売られました。いずれ戻すでしょう。時代が変わったというならば映画館から自宅で観るという変化は大いにアリで私も週何回か観ています。

今、面白いと思うシリーズが「トランプ アメリカンゲーム」でトランプ大統領のことがより一層理解できます。その中でトランプ氏が88年にNYのプラザホテルを買ったというシーンがあります。あれを390M㌦で売ったのは私が秘書としてお仕えしたボスで、トランプ氏とビジネスディールをした数少ない日本人です。トランプ氏と元ボスの世界観、立ち位置、考え方など凡人には理解できないものがありました。良い勉強となりました。

まずかったGo To キャンペーン

写真AC:編集部

誰も口にしませんが、私はGo Toキャンペーンで東京都民が除外されたのは憲法違反ではないかと思っています。憲法14条の「法の下の平等」に反すると考えています。今回のキャンペーンは税金を使い、国民にメリットを提供するわけですが、都民だけ除外されることでその法の下の平等に受ける権利を享受できなくなります。ただ、東京も入れるべきというのではなく、そもそもこのキャンペーンに無理があったとしか言いようがないのです。

旅行会社や宿泊施設、運輸関係の業種は本当に厳しいと思います。そこでコロナが収まったらキャンペーンをやろうということになったのですが、国交省が「大幅前倒し」としてしまったのです。多分、国交省が音頭を取ったというより業界などからの陳情に押されたのだろうと思います。しかし、今、この時期にやるのはいくら何でも無謀の極致。早くても状況次第で秋の旅行シーズンの頃だったでしょう。

今、怖いことは感染拡大と大いに報じられ、高齢者や繊細な方々の気持ちをより刺激していることではないでしょうか?私は数週間前に重症者は増えていない、死者も減っていると申し上げました。最新の数字でも重症者は39名でほぼ変わらず、死者は7月に入って11名にとどまっています。素人目にも3-5月の時のコロナとは違うように思え、一部で指摘されているコロナの変異が起きているのかもしれません。

ただウィルスの中身はともかく、知らない人同士の接触への抵抗感と不信感がそれ以上に構築されました。人々に植え付けたこのマインドを今後、どうするかの対策こそ重要だと思います。

8月のG7サミットへの期待

延期されていたG7サミットを8月下旬から9月上旬にアメリカで開催することが打診されています。実現するのかオオカミ少年のような話になっていますが、9月上旬というのはいわゆる北米のレーバーホリディを意味すると察しますので8月29日(土)あたりの週末を狙っていると思われます。

前回、出席を拒んだメルケル首相も今回は出席の意向と理解しています。カナダのトルドー首相は「俺がアメリカに入ったら2週間隔離になるのか」と言っていましたが、アメリカとカナダの国境封鎖期限は現状8月21日までとなっており、状況が変わるか、正念場を迎えます。

今回のサミットはやれるのならやってもらいたいと思っています。理由はコロナの影響で各国の立場がバラバラになる中、一度きちんとした話し合いを含め、向かうべき方向を整え、経済対策や対中国の外交政策などで足並みを揃えることは今だからこそ重要だと考えています。また今回のG7の議題には国際間の往来が最重要議題の一つに入っています。そういう意味では世界中が注目する内容になるでしょう。

2019年ビアリッツサミットの記念撮影風景(官邸サイトより:編集部)

一方、トランプ大統領としては大統領選の劣勢を挽回するための舞台とする気ではないかと思います。何を強く打ち出すでしょうか?

WHO問題、香港問題、経済活性化、併せて英国のEU離脱とその影響、そして自身をアピールするために話を盛ってくることは大いにありそうです。これがトランプ大統領にとって最後のG7になるのか、将来、再びラウンドテーブルにつけるのか、正念場となりそうです。

後記

秋に向けて政治が面白くなる気がします。一つの焦点は二階氏を巡る攻防、更には岸田VS石破対決がいよいよ動き出しそうです。野党は立憲と国民の合併、そうなれば残された野党の立場という視点も生まれます。個人的には無理して立憲を離党し国民入りで波紋を呼んだ山尾志桜里氏はどうするつもりなのかも興味あるところです。

安倍首相は最近、本当に笑わなくなりました。笑えないのかもしれませんが、国のトップの表情は国民の気持ちに大いに影響します。笑える秋の政治になるのでしょうか?(無理でしょうね。)

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2020年7月18日の記事より転載させていただきました。