ある若い区議の離党
去年の統一地方選で渋谷区議に初当選した橋本ゆき氏が所属していた「あたらしい党」を離党しました。
私自身は自民党渋谷総支部のお手伝いで渋谷の区議選に関わっていたので、橋本ゆき氏が「元アイドル」という知名度を引っさげて若干26歳で立候補して新人候補中トップの得票数で当選したことをよく覚えています。
離党の原因は
- 「あたらしい党」代表の音喜多氏が「あたらしい党」の代表を続けながら別の政党である維新から参院選に立候補し当選。
- 以後音喜多氏は「維新の議員」としても活動しており、いつのまにか「あたらしい党」は維新と結びついている
という状況に不満があったようです。
正式な合流などもないのに代表だけ他の党の議員になり、いつのまにか「あたらしい党」も維新も政策は似ているから、という意味不明な説明で押し切っている状況ですから離党して当たり前だと思います。
政党ではなく「派閥」だった
橋本ゆき区議には気の毒な話ですが、あたらしい党の設立プロセスをみているといつかこのような分裂の日が来ることは予想できました。
その一番の原因はあたらしい党は政党の形を取っていますが、その実態は代表の音喜多氏がいつの日にか総理大臣になるという個人的目標を支援する「派閥」としての組織だったからです。政党なのに実質は派閥なのである意味「あたらしい」とも言えますが、その性質は中選挙区制下の自民党の古臭い派閥そのものです。派閥のメンバーは自身の選挙を派閥に支援してもらう。見返りに派閥のボスが偉くなることをサポートする。派閥も「政策集団」などと言っていますが、選挙や権力闘争ありきのグループなのです。
派閥だと思えば音喜多氏の奇怪な行動も理解できます。派閥は本来政党の中にあるものですから、維新の会に所属し同時にあたらしい党(音喜多派)の代表を務めることも当然可能です。一方であくまで「政党」だとばかり思っていた一部のメンバーが「派閥」としての性質を理解できていなかったことが離反につながっているのでしょう。
政党と称する派閥党
政党と称しつつ実態は古い派閥であるというのはあたらしい党だけではありません。都議会の都民ファーストの会も結局のところは「小池派」であり派閥的な意味合いが強い政党です。「東京大改革」というスローガンがありますが、もはや誰もその大改革の具体的な中身を説明できる人もいないでしょう。実態は小池都知事を支えて「あたらしいことをやる」という曖昧模糊なものでしかありません。
政党内部に存在する派閥であれば権力闘争は派閥ベースで、政策・政治理念の共有は党をベースにといった役割分担ができるので良いのですが、政党自体が一つの派閥となってしまうと選挙活動や権力闘争だけに励み、政策や理念は後回しになってしまいます。
来年の都議選において都民ファーストの実態が「小池派」という派閥に過ぎず二元代表制における独立した議会として首長に対峙できる政党ではない、ということをしっかりと都民に理解してもらえるような努力が必要です。