JL-3。DF-41。
中国において近いうちの配備が見込まれていると言われ、発射実験が行われている潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)と大陸間弾道ミサイル(ICBM)です。DF-41については昨年の国慶節の軍事パレードにおいても披露されました。私も立場上、様々な情報に実際に接していますが、ここでは公開されている情報に基づいた記述となることはご理解ください。
ここのところ、自由への弾圧など香港情勢の緊迫化とともに、尖閣周辺や東シナ海、太平洋、台湾海峡、南シナ海と、中国の軍事的な行動が目立っています。またウイグルにおける弾圧の動きにも注意が必要です。
習近平主席や共産党の最高指導部の意図について断言することはしませんが、中国が共産党や軍部などから色々な形で発信しているように、中国の長期的な目標が「アメリカの影響力を西太平洋、アジアから排除して中国の影響力を西太平洋アジア地域で寡占化する」ことにあるとみて大きな間違いはないと思われます。
急速な軍拡や上記の海域や太平洋の島しょ国への様々な動きも含めて、この文脈での、そして戦略、戦術両方のアプローチでの行動であることは明らかです。
日本の国益を考えたとき、アメリカのアジアにおけるプレゼンスの低下は日本の安全保障のみならず、経済や外交など様々な観点から極めて深刻な影響をもたらします。またその影響は我が国のみならず、中国・北朝鮮以外のアジア諸国の動向にも影響をもたらし、アジアの持続的な平和や安定を危機にさらすことにもなりかねません。
中国側に様々な行動を激化させる口実を与えてはいけませんが、同時に今東アジア地域が極めてcriticalな状況にあることも事実です。特に最近、中国側が露骨に国際的な批判を無視して既成事実の積み上げに動いていることは極めて憂慮すべき事態です。日本としても、中国側の言動ではなく実際の行動を注視しながら、適切な行動をとっていかねばなりません。
今回の新型コロナウィルス感染症の被害が世界中で甚大なものになっている背景に、中国の初期段階における対応の問題が指定されていること、そして香港での実質的に北京政府による異常な行動により、中国の共産党独裁政権の異質さを世界が再認識することになったのは不幸中の幸いでもあります。
従来から「一帯一路」「債務の罠」、様々な世論工作、同盟国北朝鮮への実質的な支援など警戒すべき動きが顕在化していました。その結果として、アメリカだけでなく、オーストラリアや台湾、インド、ベトナムなどと連携が深まってきていましたが、最近ではイギリスもアジアへの関与を強めるなど、世界の目が中国の脅威によりストレートに向くようになってきています。
中国側に少しでも状況を変える動きやエスカレーションの動きの兆候が見られれば、わが国としても、アメリカなどの同盟国や価値を同じくする国、利害を共有する国と連携し、中国側の行動が長期的に中国の国益を損なうという状況を、行動によりきちんと作り上げていく必要があります。
そしてそのためには、民主国家であり自由な社会である日本においては、政府のみならず、国民の強い意志こそが非常に重要なポイントです。皆さまとともに、日本の国益にとってベストな方向に事態を進めていけるよう引き続き全力を尽くしてまいります。
編集部より:この記事は、外務副大臣、衆議院議員の鈴木馨祐氏(神奈川7区)のブログ2020年7月25日の投稿を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は「政治家 鈴木けいすけの国政日々雑感」をご覧ください。