「好きなことを仕事にする」のは簡単ではないが、悪くない

月舟/写真AC

私は「好きなことを仕事にする」という考え方に賛成です。そもそも仕事はつまらないより、楽しい方が毎日を豊かにしてくれます。それに、好きなことは飽きないので、夢中でやっているうちに、競争相手に対して、負けないだけの経験と情報を手に入れることができるからです。

しかし、「好きなことを仕事にする」を実践しているにも関わらず、思ったように仕事が回っていない人もいます。

それには、理由があるのです。

1つは、自分の好きなことを同じように好きな人が他にもたくさんいて、競争相手が多すぎる場合です。

好きなことがメジャーで旬なものであると、自分以上にそのことに関して、知識や情報を持っている人が現れてきます。そうすると、自分の存在価値が薄れてしまい、仕事として成り立たなくなるのです。

その場合やるべきことは、更に自分の好きな専門領域を追加して「掛け算で絞り込む」ことです。もう1つの要素を追加することで、ニッチなエリアを作り出し、自分だけしかできないことを探していく必要があります。

いつも例に出すのは「芸能人×高学歴」という掛け算です。競争の激しい芸能界ですから、好きでやっていても売れない人が大半です。しかし、もし高学歴なら、希少性が出てきます。競争相手が圧倒的に少ないので、テレビのクイズ番組には、いつも決まった高学歴芸能人が出演しているのです。

自分のやりたいことに、何を掛け合わせれば、更に希少性を高められるかを常に考え、必要なものを自分に追加する。そんな戦略を立てることが必要です

もう1つは、自分の好きなことと、マーケットが一致していない場合です。

例えば、コンビニを路面店ではなく、2階や3階に出店しても面倒臭がってお客さんは来店しません。逆に、隠れ家バーと言いながら大通りの路面の一等地に出店しても、お店のコンセプトと立地がズレています。自分の好きなことが、どこにニーズがあるかを見て、マーケットをフォーカスすることが必要です。

せっかく価値があるものでも、マーケットがズレるとニーズをうまく取り込めないのです。

うまくいかないのは「好きなことを仕事にする」のが、悪いからではなく、やり方に工夫が必要だからということです。確かに簡単では無いかもしれませんが、嫌なことを続けるより、苦労しても好きなことを仕事にした方が、充実した人生を味わうことができると思います。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2020年7月26日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。