コロナ対策のため、換気設備をフル回転させると、冷房で冷やされた空気が外に出ていく。
しかし、熱交換機能の付いた高機能換気扇だと室内の温度を保ちながら空気の入れ替えができる。その補助金の採択者が発表された。
今回のコロナ対策の補正予算の補助金の中で、科学的な感染予防の対策と言える設備に対する補助金はこれだけだ。
- 環境省の令和2年度補正予算 二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金
- 大規模感染リスクを低減するための高機能換気設備等の導入支援事業
(予算は30億円で環境省にしては大きな額である。)
今回、残念ながら、弊社(グリーンテクノロジー)が支援した大型店舗の案件は不採択になった。(申請数が多く、採択率も低かったと思われる)
全国で1,000件近くが採択されている、中身は小規模な飲食店がほとんどだ。
採択された事業者に注意してほしいのは、経済産業省の補助金と違って、環境省の場合は、二次試験というような審査が行われることだ。
すなわち、採択者に対して、もう一度交付申請書の提出を求め、内容や金額が精査される。この申請書が認められないと、業者との契約もできないルールになっている。
さて、今回の採択者の内、驚くべきことに、大阪府の案件が実に3割以上を占めている。
その理由は、大阪府が国の補助金に上乗せして実質10割の補助金として支援したからである。
大阪府は、環境省の2/3の補助金に採択された事業者に対して、大阪府が残りの1/3の補助金を「上乗せ」して、出すという。一見、大阪府が100%の補助金を出しているような印象だ。
こんなことをすれば、大阪の事業者はタダで対策ができることになる。
そして、売り込む事業者も100%補助金で売り込みやすい。
高機能換気扇のシェアNo.1のパナソニックの本社も大阪だ。
申請者が殺到することは疑いのないことである。
大阪府のやり方は、他の都道府県の事業者をないがしろにしている。
国の事業なのに、地域によって補助率が異なることになる。
しかも、補助率100%というのは不正の温床になりかねない。
府の補助金は、国の制度を利用したフリーライダーではないか?
自分達が良ければ、他の地域はどうでもよいのか?
このような「裏技」を考える吉村知事は、国から見ると、とても迷惑な人ではないか。
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森下 兼年 環境コンサルタント、株式会社グリーンテクノロジー代表取締役