スマートフォンを通じて手軽に株式投資ができる「スマホ証券」が話題になっていると日本経済新聞が報じています(写真も同紙から)。
会社によってサービス内容には違いがありますが、多くは株式取引が無料でできるなど、低コストを売り物にしています。
また、スマホで口座開設を完了できる会社もあります。証券取引は口座開設で挫折する人が意外に多く、始めるハードルの低さは、投資未経験者には大きな魅力です。
しかし、初心者向けというには、サービス内容や商品ラインナップは不十分に見えます。
例えば、投資信託です。投資信託は分散投資ができ、少額から定額で積立できる点で、金融資産による資産運用の必需品と言えます。しかし、多くのスマホ証券では株式が中心で取り扱いが無いようです。私の知る限りではLINE証券だけが厳選した投資信託ラインアップを行っています。
また、ほとんどのスマホ証券は、節税効果のあるNISAやイデコ(iDeCo)に対応していません。
金融商品を使った資産運用のポイントは、コストを下げること、インデックス運用で積立して市場平均と同じリターンを狙うこと、そして税制優遇制度をフル活用することです。
確かに、スマホ証券は、投資未経験者が始めるきっかけにはなり、個人投資家の裾野を広げることに寄与するという面はあると思います。
しかし、投資経験の無い個人投資家が株式の個別銘柄投資を少額で始めて、ビギナーズラックで収益があげられたとしても、継続する事は困難です。いずれ、多くの投資家は、株式相場の下落局面で損失を出し、撤退してしまうのではないでしょうか。
スマホ証券は、証券業界の活性化につながるとしても、このブログや資産デザイン研究所メールを読んでるような個人投資家には、現時点では必要ありません。マネックス証券をはじめとする大手ネット証券を活用するのが王道です。
スマホ証券のサービスや商品ラインナップが、今後さらに充実していくことを期待したいと思います。
編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2020年8月16日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。