新しい政治スタイルと規制改革について話しました

少し前になりますが、東京で政経セミナーを開催しました。元々、3月に立食形式で予定していたのですが、コロナ感染拡大防止の観点で日程、会場、形式を変更し、セミナー形式で行いました。オンライン視聴環境も構築するなど、政治家事務所としても新しい手法に挑戦できたことは非常によかったと思っています。

さて、当日は私からの国政報告と、政府の規制改革会議のメンバーである夏野剛さんをゲストに招いた対談の2本立てで行いました。

私の国政報告では、 一連のコロナ対応と今後の取り組み、 新しい政治スタイルとリーダーシップのあり方、政治のダイバーシティについて話しました。この一年は、規制改革、青年局、コロナ対応に明け暮れたのですが、特に昨年9月から局長を務めた自民党青年局の活動からは、政治活動8年の総括とも言えるような学びと確信が得られたので、率直な思いを共有しました。

青年局は45歳以下の国会議員、地方議員、一般党員総勢20万人の組織で、局長就任以来、組織をデジタル化してイントラネットやオンライン研修を通じて、地域やレイヤーに関わらず直接情報を受け取れる仕組みを作り、情報格差を解消し、政策を実践しやすい環境の提供に努めて来ました。

イントラネットもオンライン研修も自民党のように歴史ある組織では始めることが難しいのですが、現場を信じて踏みこんでもらったことで、予想以上に活用され、議会での質問や地域の皆さんとのコミュニケーションに役立ちました。

組織内での情報共有だけでなく、対外的な発信にも力を入れました。青年局は当選が浅い議員の集まりで、メディアに関心を持ってもらいづらかったのですが、民間の広報手法を取り入れ、記事を通じて地域で評価されることで、メンバーのモチベーションに繋がりました。これについては青年局事務局の頑張りに感謝したいと思います。

青年局のメンバーを始め、多くの議員とともに取り組んだ活動としては、コロナ禍における9月入学問題と衆院比例代表候補の73歳定年制の議論です。特に9月入学問題は、学校再開の見込みが立たない状況下で、どうせ長く休校するなら、年度を半年遅らせて9月から1学期をスタートすれば良いではないか、という思いつきのような議論から始まったもので、その間増加する保育需要や、初等教育の開始時期が世界標準に比べ1年遅れること等、問題の多い内容でした。この件については、幅広い世代、分野の議員の賛同を集め、議論の終息に貢献できました。

また、先月世間をお騒がせした衆院比例代表候補の73歳定年制の議論ですが、国民がコロナで大変な時期に、議員の身分保障の問題を提起するという、全く時期ハズレな話でした。世代間闘争のように捉えられている場合があるのですが、私たち青年局を中心とする堅持派のポイントは、政治のダイバーシティです。

公職選挙法における衆院(定数465)の選挙制度は小選挙区(同289)と政党名で投票する比例代表(同176)の並立制で、候補者は両方に重複立候補もできます。現在は、党の方針で、小選挙区で落選しても、重複立候補した比例で「復活当選」の余地がある仕組みを専ら「救済枠」として使っています。

それならば、有権者に選ばれなかった人の救済でなく、女性をはじめとした多様な人材が、これまで以上に党公認として登用されるような仕組みにするべきだ、というのが我々の主張です。国際化、社会課題の多様化、デジタル化の流れの中、女性やIT(情報技術)に精通した議員を増やす必要があります。定年制は、時代が求める社会課題の解決に必要な人材に政治の門戸を開くうえで必要なのです。

デジタルを活用して地域のリーダーの情報格差をなくし、時代が必要とする多様な人材を政治の現場に登用していくことで、個人が自由にフェアに活躍できる社会を作ることができます。

また、コロナ禍で、政治は国民の皆さんにとって”自分ごと”になりました。戦後から脈々と引き継がれている政治スタイルは、今ここで本当に変わらなければいけません。

初当選以来、政治は、陳情受付型の昭和の政治から、提案コーディネート型の令和型に変わるべきと提唱して、自身ではそれを地元で実践しています。

昭和は「ここに道路や橋が欲しい」といった地域の課題と解決策が明確で、政治家は陳情を行政につなぎ、予算をつける力が問われました。しかし、時が経ち日本社会が成熟する中で、社会課題は複雑化し、政治家には官民関わらず必要な人材、制度、予算を組み合わせて解決の道筋を示す提案コーディネート力が求められています。

政治におけるリーダーシップのあり方も変える必要があります。平成に入り、日本の政治は、業界団体・担当省庁・族議員という鉄のトライアングルに守られた既得権を見直し、大胆な改革をできるよう、政治主導、官邸主導へと転換を進めてきました。これはいわゆるトップダウン型です。実際に、これまで実現不可能だった大きな規制改革を実現するなど、政治のトップダウンによる成果がありました。

コロナ禍でも、各国それぞれが政治リーダーシップを発揮して、対策を打ち出そうとしています。しかし、日本においては、コロナという未知の危機が、想定以上に多様で複雑な社会課題を浮き彫りにし、平時に良しとされたトップダウンスタイルだけでは、物理的に限界があるように思いました。

専門性のある大臣や議員に適切に権限委譲され、オープンな議論のもとに決断され、透明性を持って国民に政策が提示できる体制こそ、次世代のリーダーシップではないかと思います。

正しく選ばれた多様性のある人材に権限委譲され、多様性のある意見を調整できるリーダーシップが発揮されれば、国民の皆さんとともに、この国は必ず、前に進むことができます。

夏野さんとは、規制改革にフォーカスして対談しました。こちらは後日何かしら別の形でお届けする予定です。私自身、非常に楽しく学びのある対談となりました。規制改革についても、多様な生き方、ビジネスのあり方を実現するために継続的かつ具体的に必要です。ぜひ、皆さんにも関心を持っていただき、時代に合わなくなった古い規制を改革し、社会を立て直していくことに参画していただけたら嬉しく思います。

福山での開催は3月を予定しています。

東京での学びを生かし、さらに安心してご参加いただけるよう努めます。


編集部より:この記事は、自由民主党青年局長、衆議院議員、小林史明氏(広島7区)のオフィシャルブログ 2020年8月17日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は小林史明オフィシャルブログをご覧ください。