17日から、民主党大会が激戦州のひとつウィスコンシン州はミルウォーキーでキックオフします。ただしコロナ禍とあって、前代未聞の全面的なオンライン開催となり大幅な規模縮小を余儀なくされました。
スケジュールはこちらの通りで20日まで開催され、初日には民主党大統領候補のジョー・バイデン氏とともに合同作業部会を立ち上げ政策提言を行ったプログレッシブの雄サンダース上院議員のほか、ミシェル・オバマ夫人が舞台に立ちます。
翌18日にはオカシオ=コルテス下院議員やクリントン元大統領、そしてバイデン夫人が登場。19日にはカマラ・ハリス副大統領候補の指名受諾演説を経て、オバマ前大統領が舞台に立ち、挙党体制を図る見通しです。
バイデン氏が正式な大統領候補として指名されるのは、フィナーレの20日。受諾演説はもちろんネットで行われ、その内容が注目されることは言うまでもありません。
気になる支持率動向ですが直近の世論調査を振り返ると、バイデン候補は引き続きトランプ大統領を上回る状態です。しかしながら、肝心要の党大会前にリードが縮小してしまっているのですよ。
ジャマイカ系の父とインド系を母にもち、黒人女性の上院議員としては2人目となるカマラ・ハリス議員を11日に副大統領候補に指名した直後の世論調査だったものの、支持率の上昇につながりませんでした。以下は世論調査結果です。
〇CNN世論調査の場合
・8月12~15日実施→バイデン:50%、トランプ:46%
・前回6月2~5日実施→バイデン:55%、トランプ:41%
・無党派層(8月時点)→バイデン:46%、トランプ:45%
・無党派層(6月時点)→バイデン:52%、トランプ:41%
・15州の接戦州(8月時点)→バイデン;49%、トランプ:48%
〇WSJ/NBC世論調査の場合
・8月9~12日実施→バイデン:50%、トランプ:41%
・前回7月9~12日実施→バイデン:51%、トランプ:40%
・属性別、8月の結果が7月を上回った数
→バイデン:2(黒人、65歳以上)、トランプ:5(男性、女性、黒人、ヒスパニック、18~34歳)
※ただし、8月時点の世論調査結果では12の属性のうち男性と高卒以下以外の9つでバイデン氏がリード
チャート:WSJ/NBCの属性別、世論調査結果
バイデン候補とトランプ大統領の大きな違いは、投票理由にあります。バイデン氏を支持しているから投票するとの回答は36%に対し、トランプ再選阻止が狙いとの回答は58%と大きく上回っていました。さらに、2016年時点のクリントン氏を支持しているためとの回答の49%にも遠く及びません。翻ってトランプ氏だから投票するとの回答は74%と、段違いの差なのですよ。
チャート:バイデン氏あるいはトランプ氏に投票する理由
ハリス副大統領候補の好感度はCNN世論調査で41%、WSJ/NBCの世論調査で39%とペンス副大統領とほぼ変わらない水準でまずまずだったとはいえ、勝負を決定するのはバイデン氏にほかなりません。バイデン氏がベテラン上院議員であり前副大統領として、面目躍如の演説でどこまで米国民にアピールできるのか、楽しみですね。
編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK –」2020年8月17日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。