弊社が取り組む食ブランドの一つに「CHOPPED SALAD DAYS」というサラダとブリートの専門店があります。
元々テイクアウト率が50%以上だったので、比較的売上の落込みが少なく(入居しているビルの館内人口がリモートワークで激減している所は別ですが)、我々にとっては数少ない希望の星のような業態でした。
ところが、先日、購買部から緊急ミーティングを依頼され、驚くべき問題を聞かされました。
我々のサラダのベースとなっているロメインレタスの仕入れ値が一気に3倍に上がるというのです。コーヒー屋さんでコーヒー豆の原価が3倍になったようなものです。どんなに売上を伸ばしても大赤字になる事が確定です。
ここ数年間の家賃の高騰。
人手不足による人件費の上昇。
昨年10月からイートインに課せられた消費税増税。
出口の見えないコロナ禍における客数の大幅減。
そして今度は天候不順による原材料費の急騰。
ご自身で買い物をされる方なら気付いていると思いますが、農産物の値上がりは7月の記録的な長雨と日照不足から一転して8月に記録的な猛暑が続いている事が原因です。加えて言うと、雨と猛暑は客数を「更に」減少させる効果も発揮しています。
天にも見放されたかという状況が外食産業を襲っているのです。
本当に「食」が好き。
新しい「ライフスタイル」を広めるのが好き。
お客様に「喜んで頂く」のが好き。。。という気持ちを心の底から持っていないと、やってられないでしょうね。
以下は2019年4月に設立したKooJooの経営理念です。
ここに書かれた「仲間」とは、弊社の社員やステークホルダーだけではありません。私はこの厳しい外食産業に携わる人々をみんな仲間だと思っています。
よって、KooJooを設立した大きな目的の一つは「外食のチェンジメーカーになって、この産業を持続可能なものにする」ことでした。
最近のDX(デジタルトランスフォメーション)宣言、CASコンセプト(Customer Along Service)の打ち出し、そして新たなオペレーションシステムの数々。。。全て、その道に繋がっているものなのです。
いやいや、そんなことやってる場合じゃないでしょう。
まずは本業をどうにかしなさいよ、という声も聞こえてきます。
正直言って、今までの基本を忠実にしたやり方(味、清潔・衛生管理、ホスピタリティ、マーケティング等)を徹底しても、デリバリーに注力しても、売上を戻せないという状況は初めてですし、これ程の大赤字が毎月続くのも経営人生で初めてです。よって、恐怖心がないと言えば嘘になりますし、予算を振り分ける余裕がないのも事実です。
しかし、ここで立ち止まっていては、底なし沼に足がじわじわとはまっていくようなもの。
幸い、昨年から企画立案し、少しずつ動いてきたプロジェクトを今も続けることができていますので、それを何とか実現し、我々だけではなく、外食産業全体が生き残る一つの方法を編み出すという思いで邁進しています。
やり遂げますので、どうぞご期待下さい。
編集部より:この記事は、タリーズコーヒージャパン創業者、元参議院議員の松田公太氏のオフィシャルブログ 2020年8月21日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は松田公太オフィシャルブログをご覧ください。