このようなご時世に贅沢に思われるかもしれませんが、おそらく9月末頃までは、かなり忙しい日々を送ることになりそうです。諸々書きたいブログネタはあるのですが、書き込む時間的余裕がなさそうです。ということで本日も短めに拙稿のご紹介をさせていただきます。
投資家向けの宝印刷さんの機関誌「Disclosure & IR」におきまして「令和元年改正会社法が社外取締役制度に及ぼす影響」と題する論稿を掲載していただきました。99%の上場会社に社外取締役が就任している現状で、会社法が(公開大会社である監査役会設置会社に)1人以上の社外取締役の選任を義務付けることって、なんの意味があるの?といったご疑問にお答えする内容です。とりわけ、このたびの会社法が社外取締役の設置を義務付けた制度趣旨から、今後は真剣に投資家と会社との間における「期待ギャップ」を埋める努力をしなければならないことを説明しています。
さらに、このたびの改正により、社外取締役にも一定の条件のもとで業務執行権限が付与されます(セーフハーバー・ルールであることは横に置いといて)。私は社外取締役の報酬の多寡を論じるよりも、社外取締役の果たすべき機能を語るには、こちらを真剣に論じることが重要だと思います(実際に、会社法上の社外取締役ではないが、社長と一緒に業務を執行する非常勤社外取締役さんて結構いらっしゃいますよね)。取締役会の実効性評価を実施する企業が増えていますが、本当に評価制度を運用する気があるのであれば、各社外取締役がステークホルダーから期待されている役割を果たしているか、といった点も評価基準にすべきではないかと。
上記機関誌は一般の書店では販売しておりませんが、上場会社のご担当者の方々に広くお読みいただければ幸いです。しかし目次をご覧の通り、かなり興味深いテーマを取り扱う機関誌なので、一般の書店でも販売してくれないかなぁ、との感想を持ちますね。
集部より:この記事は、弁護士、山口利昭氏のブログ 2020年8月27日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、山口氏のブログ「ビジネス法務の部屋」をご覧ください。