官民連携による障害者就労の新しいかたち

こんにちは、東京都議会議員(町田市選出)
無所属 東京みらい おくざわ高広です。

すでに森沢議員がブログで書いておりますが、

障害者特化型BPOで障害者就労に変革を起こそうというVALT JAPAN株式会社の小野貴也代表をゲストに勉強会を開催しました。

端的に言うと、これまで就労支援事業所が直接担ってきた営業業務、つまり発注者から仕事をとってきて、事業所の利用者(障害者など)に仕事をしてもらうわけですが、この業務を請け負うというかたちです。

これにより、事業所にいる福祉の専門家は利用者さんの支援に注力し、発注者は発注業務の管理を任せられるということで、Win-Winな関係ができあがるわけです。

その際、VALT JAPANさんの運営費は発注者から管理費としていただくため、事業所の取り分が減ることはありません。また、工賃向上プロジェクトでは、3ヶ月でなんと1.7〜4.5倍もの工賃向上を果たしたというから驚きです。(厚生労働省のプロジェクトは12年で1.14倍とのこと…)

その秘訣は何かと考えると、スペシャリストが仕事にあたることに尽きると思います。

これまでの日本では、ジェネラリスト、つまりなんでもできて、何時間も働く人が得意なことも不得意なこともなんでも自分でやってきました。それが素晴らしいことだとされてきたし、今でもその習慣は続いています。

しかし、福祉のスペシャリストが営業もやるような状況では、時勢にあわせた単価の高い仕事をとってくるのは困難です。一例としてお話されていたクッキング動画の編集作業などは、流行る分野に常にアンテナを張っていなければ得られない業務です。

私は新型コロナの影響による景気の減退は、まず障害のある方々への発注の減少といった部分に大きく影響してしまうと見ています。

いまだ企業の社会的責任や社会貢献の一環として障害者雇用や就労支援事業所への発注をしている企業も多いのが現実です。なかなか戦力として捉えられず、利用者側の意欲や能力の向上にも繋がらないという悪循環が起きているようにも思えます。

参加者からの質問で、VALT JAPANのモデルが成功すると、就労支援事業所から一般就労へ、その先にあるソーシャルインクルージョンへと繋がらないのではないかという指摘がありました。

しかし、実際には、発注者から直接雇用したいという話も生まれ、一般就労へと移行していく方も出てきているそうです。

これまでの政策(法定雇用率や就労移行支援など)について、その理念や考え方の本質は悪くないのだと思います。しかし、現実がどうなっているのかをよく見なければなりません。

全国の企業の50%ほどしか法定雇用率を満たせず、事業所から一般就労へと進む方の割合も1%に満たないと聞きます。こうした現状を変えるには、新しい要素を入れてかき混ぜるような発想を持たなければなりません。

そのような意味で、鎌倉市や茨木市が連携協定を結び、官民連携で取組を進めようとしている点に大変注目しています。

もはや、政治や行政が解決策を持っている時代ではありません。政治が問題の発見や定義づけを行い、行政が課題を抽出し、官民一体となって解決策を実行していく、そして結果責任は政治家がとっていくという仕組みへと転換が図られるように、私も歩みを進めていきます。


編集部より:この記事は、東京都議会議員、奥澤高広氏(町田市選出、無所属・東京みらい)のブログ2020年8月27日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はおくざわ高広 公式ブログをご覧ください。