安倍首相は病気が治ったら返り咲く気ではないか

辞任会見で国民に感謝の意を示す安倍首相(官邸サイトより)

室井佑月さんは、安倍首相の辞任意向報道に「不謹慎だけど乾杯したい」「明日から何を心の支えにしよう」と言っているそうだが、わがFacebookフレンドの何人かも生きがいを失って明日からどのように生きていかれるのか心配な人がかなりいる。

もっとも、これを機に正気に戻るなら儲けものだが。

国民民主党の玉木雄一郎代表は「自民党に代わる政治勢力が何を訴え、何を旗印にするのかを、より明確に示していく必要が出てきた。『安倍内閣がダメだ』だけではもう通用しなくなるので、骨太の政策論や理念の提示が、より強く求められるようになった」と述べたそうだが、まさにそうだろう。

山尾しおりさんは、「安倍政権下での憲法改正議論に反対と言っていた人々とも、これで議論できるようになるんだろうか?」といっているが、まさにその通りだ。

しかし、私は彼らは心配する必要ないと思う。今回の安倍首相の退任劇を見ていると、もう一度やる気があるのではないかと思うのだ。

安倍首相辞任を伝えるニュースでは、史上最長の在任期間を誇る偉大な宰相にふさわしい賛辞の数々が並べられている。いま内閣支持率を聞いたら任期中でも最高の数字になるのではないかと思う。

余力を残しての退陣に誰もケチを付けようがない。つまり、総理は新しい薬を使うことで状態は改善したのだが、これがそのまま維持できるかわからない。もし調子が悪くなったときに、正しい判断ができないとか、急に辞めざるを得ないことになったら申しわけない。だから、辞めるというのだ。

そして、「コロナの患者数が減って、冬に向かっての対策もできたので、いまがいちばん後任者にバトンタッチするタイミングだ」というのだから、誰も文句言えない。おまけに病気なのだから室井佑月さんくらい面の皮が厚くないと皮肉もいえない。

もうこれ以上、安倍首相のこれまでのイメージをいいようもない。

拉致、憲法改正、北方領土、デフレ脱却といった宿題の解決ができなかったことを残念だと唇をかみ少し涙ぐみ、公文書の管理などの不備を率直に謝ってしまえば、それ以上、追及する理由もない。

党内の流れとしては石破茂氏に有利な党員投票を避けて両院議員総会でという方向に急速に流れているようだ。安倍首相は後任者選びには介入しないといったが、これは岸田文雄氏の期待に背いている。しかも、岸田氏は新潟に行って帰ってこなかったので、二階幹事長一任になってしまった。

岸田氏は、あの広島での河井夫妻の事件の処理がまずかったのが尾を引いているのではないか。

コロナ対策をもっとも緊要の課題としたことは、菅義偉官房長官を利するかもしれない。また、外交の重要性を強調しなかったことは、トランプなどとのパイプは安倍首相が維持してある種の院政になるかもしれない。

議員としての活動を強調していたが、改憲など保守派のリーダーとしての役割に積極的に取り組んでいくということでないか。

そして、その延長線上で、三度目の登板も排除していないように思う。もしかすると、2年くらいしたら、さらにパワーアップして、アベノセイダーズも寄せ付けない3回目の登板というのもあるかもしれないという気になった。