消費動向、100万人調査で見えてきたのは....

国内消費動向指数『JCB消費NOW』の7月前半(7月1日~7月15日)の速報値が先日発表され、最新の消費動向が見えてきました。

これはJCBグループ会員のうち、約100万会員のクレジットカード決済情報を基にJCBとナウキャストが算出した、“現金を含む国内の消費全体を捉えた消費動向指数”(※クレジットカード決済情報そのものではありません)を基にしたデータです。

これによると、中国武漢で発生した新型コロナウイルスですが、日本でも感染が拡大する前の1月後半と比べて、全体では2月の後半から消費が低迷をしました。そして、最大は4月後半のマイナス30%を超えるというところまでいきました。

4月後半のボトムから、6月の後半までは緩やかに消費が回復をしてきましたが、7月の前半にまた下がってマイナス10%超えました。もちろんマイナス30%超よりもマイナス10%超の方が、落ち込みは少ないです。しかし、少しずつ6月まで回復してきていたのに、7月になってまた下がったということです。

その要因は、5〜6月はいわゆるリベンジ消費で、コロナ前の1月よりもわずかにプラスでしたが、7月になってまた小売が落ちました。4月からは家電製品、5月からは家具が売れに売れて、いずれも5月後半にはコロナ前の40%も増えていました。

これが何を指し示しているかと言うと、巣ごもりで家にいる時間が長かったところに、特別定額給付金の1人10万円が支給された事により、家具や家電を買いに行ったと言うことです。ところが7月前半になると急速に萎み、家電はプラス20%を切って、家具はプラス10%を切りました。先日お蔦した通り、特別定額給付金分をすでに締め切った、あるいはもうすぐ締め切る市町村がほとんどですから、これから先定の家具や家電購入はますます減るでしょう。

消費に大きな影響を与えるのは何といっても収入ですよね。厚労省が先月発表した毎月勤労統計調査では、6月の実質賃金は前年同月比2.1%減(速報値1.9%減)で4ヶ月連続の減少でした。残業代などを含む所定外給与は24.5%減(速報値24.6%減)と言うことです。この数字に一致するように6月の全世帯(単身世帯除く2人以上の世帯)の消費支出は27万3699円で前年同月比1.2%減となっています。

今、日本の失業率は2.8%でこれは世界的に見たらかなり低い数字ですが、これは仕事は減ってるけれども雇用調整助成金で会社が雇用し続けているという結果です。雇用調整助成金は今、特例措置で1日当たり1万5000円まで国が企業に代わって支払っているというような状態になってるわけですね。この特例措置は12月末まで延長されることが先ごろ決まりました。しかし、これがなくなると今度は雇用も厳しいということであります。それにしても、特別定額給付金にしても、雇用調整助成金にしても確かに今の日本経済の下支えにはなっているわけですけれども、国の税金頼みの経済と言えるわけですよね。しかし、いつまでも出してはいらないわけですし、どこから経済が自立した回復になるのか。なかなか見通せません。


編集部より:この記事は、前横浜市長、元衆議院議員の中田宏氏の公式ブログ 2020年9月3日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。