ふた月程前、東洋経済オンラインに『悲しいほど「心が弱い人」に共通する3つの特徴 強さは「修復力」と「客観視」から生まれる』と題された記事がありました。総合格闘家の朝倉未来さんが「弱さ」の克服方法につき様々語っているものですが、本ブログではその中から以下2点をピックアップして簡単にコメントしておきます。
○「弱い」人は相手を分析しようとしても、ただ映像を漫然と見てしまうことが多い。自分ならどうするか、自分の視界からはどう見えるか。それをつねにシミュレーションすることで、臨機応変に対応できる「強さ」が生まれるのです。これは、格闘技に限らず、多くの物事に共通する問題でしょう。
○目的意識が曖昧なのは「弱さ」です。(中略)目的意識をしっかり持つために大切なのは、今取り組んでいることが本当にやりたいことなのかどうかの再確認です。(中略)本当にやりたいことであれば、どんどん成長することができます。やりたいことではないのになんとなくやめることができず、ずるずると続けてしまう、というのも「弱さ」の表れです。
己を強くする為に、やらねばならない事柄が幾つかあると思います。一つは、あらゆるものから独立する、ということです。自分自身の独立性と主体性の確立こそ先ず必要であり、之が無いと人間弱くなりましょう。それから、自分を律する気持ちを持つ、ということです。麻薬にしろ煙草にしろ、止められないのは自分が弱いからです。何事につけ良くないものに対し徹底的に立ち向かって行く姿勢、そしてそれを貫き通す意志力を持ち続けられるかが結局勝負の分かれ目となるでしょう。
世の中のことというのは中々思い通りに行くことは少なくて、色々なところで失敗があったり挫折があったりするわけですが、それが寧ろ当然だと思いながら常々チャレンジし立ち向かって行くということでなくてはいけません。最初から諦念の世界に入るような人は、やはり弱いと思います。
また企業においては過去の成功体験に溺れることなく、「自己否定」・「自己変革」・「自己進化」というプロセスを歩みながら、時代の変化に対応し生きて行く道を常に自ら考え続けねばなりません。
当ブログでは嘗て『論語』や『呻吟語』あるいは『呂氏春秋』といった書物から色々な人物判定の方法を御紹介しましたが、つまりは「恒心(こうしん)…常に定まったぶれない正しい心」がどうかの一点こそが急所であると思います。此の恒心というのは、「言うは易く行うは難し」で極めて難しいことであります。
その実現を図るに第一には、曾国藩が言う「四耐四不(したいしふ)…冷に耐え、苦に耐え、煩に耐え、閑に耐え、激せず、躁(さわ)がず、競わず、随(したが)わず、もって大事を成すべし」で艱難辛苦を様々克服して行く中で、精神的タフネスを如何に養うかということに尽きましょう。
事業家でもそうですが、どこかで少し躓いたら直ぐ駄目になってしまう弱い人も結構いますが、いま苦しいのは「人間成長のためだ」「天が与えたもうた試練だ」として歯を食い縛り、之を頑張り抜く人間でなければ駄目だと思います。
何らか事を成そうと志す時、「発心」・「決心」までは誰でも行きます。しかしながら何年、何十年とそれを倦まず弛まず主体的に持続することは、並大抵ではありません。そこに仏教で言われる「相続心」というものが、最も大事になるのです。之が無いが為、多くの志が頓挫してしまうわけです。自分が一旦決めた事柄は何があっても貫き通すとか、貫き通すべく最大限の努力をし続けることが大事なのです。
編集部より:この記事は、北尾吉孝氏のブログ「北尾吉孝日記」2020年9月9日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。