今週のつぶやき:見えないマーケットの色、踊れるか枝野、ドコモ口座の問題

全米オープン。大坂なおみが再び決勝の舞台に上がります。私が今回見た彼女の強さとは、圧倒的な安定感かと思っています。コロナでメンタルが非常にセンシティブになっている人が大変多く、私の周りにも「どうしちゃったの?」という方は複数どころか両手で足りないぐらいいらっしゃいます。そんな時、圧倒的な自己コントロールで自分に課せられた仕事に集中できる彼女は強いと思います。自分の足でしっかり立っています。きっと良い結果をもたらしてくれるでしょう。

では今週のつぶやきをお送りします。

見えにくいマーケットの色

山火事で霞むサンフランシスコの空(Melinda Young Stuart/Flickr)

私は日本の株式市場についてはある専門家の日々の解説と予想を参考に読んでいるのですが、この1年ほどさっぱり当たらなくなっています。株価の動きが今までの経験とは相反した展開になっているのでしょう。投資家の心理、プログラム売買、デリバティブ更にAIが投入される市場で勝負する投資家は何をもって正とするのか、答えが見つからない状態になっています。

私は「人の行く 裏に道あり 花の山」という言葉を中学生の時から叩き込まれています。市場が熱中しているところには手を出さないというわけです。もう一つ、「頭と尻尾はくれてやれ」という格言もあります。1000円の株が1500円に上がるなら、間の300円抜ければ大成功、上と下の部分を狙う必要はないという発想ですね。今、コンピューターやAIは10円とか10セントといった小さな金額のギャップを狙うテクニカルなやり方が目につきます。システムが「木を見て森を見ず」の状態になっているのでしょう。

投資というのは社会を見、経済を見、企業を見、その株価の妥当性を見、そして判断するものです。アメリカは経営が短期志向なので結果が出やすいので参加する投資家も増えてきます。そして最近の特徴はオーバーヒートし、その直後に概ね半値の調整が入る感じでしょうか?株価が10%上げるような好材料が出れば翌日には5%下げるという感じです。それは市場参加者がテクニカルになりすぎているためで本来の投資とはかけ離れてしまっています。これが見えにくいマーケットの色なのでしょう。西海岸はカリフォルニアからバンクーバーまで山火事で空の色がどんよりしていますが、今の市場はそんな感じすらします。

枝野幸男は踊れるのか?

本人ツイッター:編集部

枝野さんが(新)立憲民主党の党首に選ばれました。枝野さんの名前が日本全国に知れ渡ったのは東日本大震災の時、官房長官としての仕事ぶりだったと思います。あの精力的な姿勢は時の首相、管直人さんを超えていました。震災ニュースがストリーミングで流れる際「枝野やるねぇ」と応援が多かったのも覚えています。そういう意味では悪い印象はないのです。でも、今は何か違うのです。

枝野さんが(旧)立憲民主党を立ち上げたのが2017年10月。個人的には面白い野党ができそうだと期待してたのです。ただ、今回の合流後の代表選を見ても枝野氏の対抗馬が旧国民出身の泉健太氏という形だけの選挙だったこともあり、報道もたんぱくでしたし、新しい立憲が何をしたいのか、数だけは増えたけどそれで、という感じなのです。

多分、そう思わせる一つの理由は立憲も含め野党はこの7年半ずっと「打倒、安倍」だったのです。旧立憲のスローガンは「安倍政権の横暴を許さない」なのです。首相が代わるわけで、新首相が横暴かどうかわかりません。ではなにをスローガンにするのでしょうか?

野党はいつも「反対、反対、また反対」しか言わず、何をしたいのか聞いてみたいのです。原発反対はわかりましたがそれが今の中心課題ではないでしょう。枝野さん、もっとセンターステージで踊ってみませんか?スポットライトが当たるか、昔の期待を裏切らないのか、見てみたいです。

ドコモ口座、そもそもどーでもいい口座

日本人はブランドネームに弱いところがあります。宣伝に踊らされ、「今はやっている」と言われるとそうなのか、とつい手を出します。北米にいると流行はハイエンドから降りてくることが多いのですが、日本の場合は子供が母親に影響し、母親が父親に影響するという真逆のルートとなることも多い気がします。中高生は流行に敏感な上に友達同士でそれを使わないと「いけてない」と仲間に入れてもらえないこともあり、ある意味、強制力すらある世界です。

ではこのドコモ口座、この不正問題が生じるまでにこの口座の存在を知っていた人はどれぐらいいたのでしょうか?利便性は何だったのでしょうか?ドコモは「資金移動業者」としての許可を貰っている中での業務です。決済はできず、右から左へお金を動かすインフラ的役目です。その基本的発想は電子マネーというお財布の派生ビジネスです。ところがAからBへ移動が伴えばハッキングされたり不正利用されるリスクは当然高まります。

では人々はなぜ電子マネーに資金移動しなくてはいけないのか、ここが日本の不思議なのであります。そもそも銀行かクレジットカード会社がサービスを拡充すればよかっただけの話です。北米はそれです。当地でQRコード決済はアジア系の店では見かけますが、それを使わなくてはいけない事情はないのです。クレカか銀行のサービス、送金は無料のInteracがあって他の業界が参入する余地は今のところないし、逆に不正利用の話も少ないと思います。私には電子マネーの勃興を許した日本の銀行システムとクレジットカード会社の出遅れが背景だと思っています。

後記

レイバーホリディが終わり、ビジネスに少し活気が戻ってきました。入居するシェアオフィスにも人はだいぶ増えてきました。道路は渋滞がよく起きていますし、人々は外に出ています。カナダは住宅市場が活況で原油価格がいまいちでも景気は順調に回復しています。ホテルにも客が増え始め、USとの国境がそろそろ開くのか、微妙な判断のところにありそうです。日本も緩和策が打ち出されていますが、そろそろ外国から来る人の2週間の隔離を撤廃し代替案で対応できるところにもうすぐ到達できる気がします。難しいかじ取りですが、管理する方法はあると思います。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2020年9月12日の記事より転載させていただきました。

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会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。