スンナ派とシーア派が空中戦を繰り広げる「平和な日本」

内藤 忍

 

写真AC:編集部

先週、北海道の釧路空港から関西国際空港に向かうピーチ・アビエーションの機内で、乗客がマスク着用を拒否したことから機内でトラブルとなり、新潟空港に臨時着陸する事件がありました。

ネット上では、事件の原因はどこかについて、激しい議論が巻き起こっています。マスク教の「スンナ派」(マスクすんな)急進派と「シーア派」(マスクしいや)の抗争が地上だけでなく、空中まで広がっている訳ですが、何とも平和な光景です。

そもそも、日本では飛行機の機内でマスクをする事は義務付けられていません。今回もマスク着用のお願いをしていただけとされています。

お願いベースであれば、スンナ派の乗客がマスクをしなくても良いことになります。

正確な事実関係は分かりませんが、実際今回もマスクをしないで離陸したようです。それにもかかわらず、緊急着陸しています。つまり、上空でマスク問題以外のトラブルが発生し、機長の判断で降機させられたのだと思われます。マスクを拒否したから降機させられた訳ではないのです。

乗り合わせた乗客も迷惑千万ですが、何よりも、ピーチ・アビエーションの乗務員にとってはとんだ災難だったと思います。

私もスンナ派(ただし穏健派)ですが、電車の中ではマスクをします。そして新幹線のような空いている車両や一人で外出している時はマスクはしません。

マスクをする意味がないと思えば、しないようにしていますが、シーア派の人と争ってまで、主義主張を通そうとは思っていません。

マスク論争して、気まずくなるくらいなら、最初からマスクをすれば良いだけ。だから、電車ではシーア派のふりをし、電車を降りたらすぐに外してスンナ派に戻る。

この不毛な「宗教戦争」は、いずれ収束すると思っています。何年か経って振り返れば、きっと笑い話になっていることでしょう。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2020年9月14日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。