菅内閣が仕事をする内閣になることがいよいよはっきりしてきた。
デジタル大臣なる言葉が出てきた時は、え、デジタル?と思ったものだが、省庁横断でデジタル改革を推進していくためにデジタル庁を新設するのであれば、やはり大臣の名前もデジタル大臣でいいだろう。
マイナンバー制度の普及が思ったようには進まず、コロナでの保健所や関係役所の対応が基本的にファックス頼りだった、などという話を聞いて、改めて、日本の行政が世界の潮流から遅れており、日本がデジタル後進国になっていることを忌々しく思ったものだが、菅さんはどうやら本気でデジタル改革に取り組むようだ。
菅内閣を課題解決内閣と呼ぶことにした識者もおられるようだが、今の日本には実に解決すべき課題が山積している。菅さんは、そのことを肌身で知っておられるようだから、自分が総理になったら何とかしたい、と予てから考えておられただろう。
デジタル庁を設置すると花火を打ち上げられたが、さて、実際にどうされるのだろう、と菅さんの動きを見守っていたのだが、デジタル大臣に自民党きってのデジタル専門家の元IT担当大臣の平井卓也氏を登用することにされた。
いくら当選回数を重ねておられても、ご自分でパソコンを操作したことがない人にデジタル改革などの最先端の業務を委託することは無理で、現実には適材適所主義を貫徹出来ないことが多かったのだが、菅さんはデジタル大臣に平井卓也氏を登用することで、ご自分の主張される適材適所主義を貫徹された。
結構なことである。
与野党を問わず、若い方々は日頃からデジタルに馴染んでおられるだろうから、ひょっとしたら平井卓也氏以上にデジタル改革推進に適任の人材がいるのかも知れないが、当選回数至上主義、年功序列主義がなかなか払拭しきれていな政治の世界では、そういう適任者を抜擢するのは難しい。
私が見ている範囲では、平井卓也氏以上にこの分野で活躍してくれそうな人は他にはいない。いい人事である。
さて、野党の皆さんは、この状況でどう対応されるのだろうか。
今までの野党は、どちらかというと政権の足を引っ張ることを優先して、政権与党のスキャンダル探しに没頭しているような印象だったが、そろそろそのスタンスを変えてもらいたいものだ。
勿論、いけないものは、いけない、と言ってもらわなければならないが、いいものまで葬り去るようなことはしないで欲しい。
これからの時代は、競い合いの時代である。様々な課題を如何にして解決していくか、という視点に立って、互いに競い合ってもらいたいものである。
さて、野党陣営に平井卓也氏を凌ぐデジタル改革に通暁した人材がいるか。野党陣営の中のいわゆる古参のメンバーの中には、いない。しかし、若い方々の中には、結構人材がいるようである。
立憲民主党の青年局長を務めている中谷一馬氏やその周辺には、それなりのデジタル改革に通暁した若い方々が結集しているようである。そういった若い力を活用することである。
これからは、政策で競い合う時代。
私は、そう認識している。
皆さん、大いに頑張っていただきたい。
小泉進次郎氏には、思いっ切り泥を被ってもらって泥臭い政治家に脱皮してもらいたいものだ
決して青臭くはないのだが、小泉進次郎氏にはもう一皮も二皮も剥けてもらった方がいいだろうと思って、官房副長官への登用を進言したのだが、菅さんは小泉進次郎氏を環境大臣として再任することにされた。
まあ、これも悪くない人事である。環境政策の重要性はこれから益々高くなる一方だろうから、日本の環境政策推進の柱として小泉進次郎氏のような次世代のスターを配することは悪くない。
就任早々の小泉進次郎氏はちょっと軽過ぎる印象でかなりイメージ的には損をしたような感じだが、菅さんの下でしっかり鍛えればそれなりに存在感のある政治家になれるはずである。
まずは、環境大臣としてそれなりの政治手腕を発揮すること。環境政策と経済政策がバッティングして思うに進まないことがしばしばあるだろうが、そこを突破して何かしら具体的成果を挙げることである。
日本が環境後進国だ、などと思われていることは、私たちにとって実に不名誉なことであり、そこは何とかしてもらいたい。経済産業省と色々角逐がありそうだが、そこを乗り越えてこそ小泉進次郎氏の道は開けてくる。
まあ、無理に泥を被ることはないが、いつか、誰かが泥を被らなければ先へ進めないこともある。
八方美人である必要はない。敵を作ることをくれぐれも恐れないことである。
環境大臣のポストは、決してお飾りではないことを示してもらいたいものである。
編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2020年9月17日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。