16日、菅義偉第99代内閣総理大臣が誕生しましたことお慶び申し上げます。
総理が掲げる規制改革について、非常に感銘を受け、一筆認めさせていただく。
総理は「国民のために働く内閣を作る」と述べ、新型コロナウイルス対策と経済再生を最優先に、行政の縦割り打破や規制改革に取り組む方針を示しました。
首相はこの中で、「行政の縦割り、既得権益、悪しき前例主義を打ち破って規制改革を全力で進める」と強調した。その一環として、国民から具体的な事例を通報してもらう窓口「縦割り110番」を設置する考えを明らかにした。電話や電子メールで受け付ける方針だ。(9月17日付け読売新聞)
菅義偉総理の特設サイトに、立候補時に表明された内容が記されている。
縦割り打破なくして日本再生なし
なかなか進まない政策課題は大体、複数の役所にまたがり、「役所の縦割り」が壁になっているものです。災害対策でも、縦割りが壁となり、全国で国交省所管以外の約九〇〇のダムが洪水対策に使われていませんでした。政治主導で見直しを進め、全国で新たに八ッ場ダム五〇個分の水量について事前放流してダムの水位を下げて、大雨時に下流の水位を下げることになりました。 ポストコロナに向けてデジタル化の必要性が明らかになりましたが、かねて「行政のデジタル化の鍵となるマイナンバーカードの普及が進んでいない」と指摘されています。できるものから年内に具体策を講じつつ、複数の役所に分かれている政策を強力に進めるため、デジタル化・リモート化を力強く進める体制を構築します。
これはコロナ対策の次に述べられた内容であり、コロナが収束すれば一丁目一番地となる政策ということが言える。
ここでダムの運用の中で“縦割りが壁”があると書いてありますが、ダムとは本当にわかりやすい縦割り行政である。
何のことかわからない方が多いだろうということで説明させていただく。
例えば、関東最大の矢木沢ダムは、以下の5つの機能を持っている
- 洪水調節(国土交通省)
- 流水の正常な機能の維持(国土交通省)
- かんがい用水の供給(農林水産省)
- 都市用水の供給(東京都・群馬県)
- 発電(経済産業省)
ダム建設時に各行政が費用を出し合い、ダムひとつで様々な権益が絡んでいる。
例えば、かんがい用水は田植えに必要な水の権利であり、作物を育てるため必要である。
洪水調節はダムの空き容量に水を貯めこむもので、他4機能は貯まっている水の利用である。
そのため洪水時には2~5の水を捨てて、洪水を防ぐための空き容量を確保できたことは、縦割り打破の事例である。
ただし、これができるようになったことには数十年で気象予報技術の精度向上などの技術革新があり、当時はよかったルールが、時代が進み考え方の転換期がきたともいえる。
では何が縦割りかといえば、各役所はそれぞれの水の権利を守るために必死になることである。
もし台風接近で洪水調整のために水を捨て、その後が少雨であった場合、作物を育てられない可能性がある。
関係者はその水の権利を守ろうとするわけだ。それが役人の仕事だからである。
ある役人が人事異動の際に冗談で
「3月31日までダム推進派の部署にいたけど、本日4月1日より河川環境保全のためにダム反対派になります」
といっていた。
“役人”の【役】とは“役者”と同じで与えられた仕事をこなす職種といわれたことがある。
これは税金で働かせていただいている役人はその仕事の所掌が定められており、それを超える仕事は越権行為となり、勝手な仕事はできない。
しかし、その制度を都度変更していくのは政治家の務めである。縦割りを打破することで新たな価値を創造できる可能性がある。
河野太郎行政改革担当大臣にはお役所仕事の抜本的な改革がなされることを切に願いたい。