千葉県知事選「熊谷市長 VS 鈴木大地」で胸アツな激戦必至

アゴラ編集部

熊谷氏(千葉市サイト)鈴木氏(スポーツ庁サイト)

来年春に予定される千葉県知事選に向け、2人のビッグネームの出馬情報が連休に入るタイミングで相次いで報じられ、「都知事選以上に盛り上がる」と急速に注目を集めている。

先に名前が挙がったのは、9月でスポーツ庁長官を退任する鈴木大地氏。鈴木氏は習志野市出身で、ソウル五輪競泳の金メダリストとして知られる。現職の森田健作知事をこれまで支援してきた自民党が、森田県政の近年の台風災害対応などに批判が集まっていることから、鈴木氏の擁立を検討しているという。

鈴木氏は19日、都内でイベントに出演したが、報道陣から知事選について尋ねられると、「今は公務員なので、何も言えない」とコメントを避けたが(参照:日刊スポーツ)、出馬について否定はしなかったようだ。

一方、鈴木氏の名前が報じられた直後に浮上したのが、千葉市の熊谷俊人市長だ。読売新聞、朝日新聞が相次いで報じた。

熊谷氏は、NTTグループの会社勤務、民主党の千葉市議を経て、2009年の千葉市長選で初当選。31歳での就任は、当時の政令指定都市の市長として歴代最年少だった。現在3期目だが、新型コロナを巡っては、情報発信や科学的かつ冷静な対応で評価を上げ、大阪の吉村知事らと並び、若手首長のホープとして全国的に注目されていた。

ただ、コロナの前からも財政再建や幕張新都心の活性化、待機児童解消などで着実に成果を残したことで、民主党出身の政治家でありながら保守からリベラルまで幅広い支持を獲得している。千葉市長選は、2期目となる2013年、3期目の2017年のいずれも過去最多得票を更新するなど自民党候補を圧倒してきた。

森田知事(千葉県サイト)

現職の森田知事は現在3期目。4選をめざすかは明言していないが、近年の失政により求心力を欠いており、不出馬の可能性は強まっている。

熊谷氏の出馬報道で一気に熱気を帯びてきた千葉県知事選だが、ツイッターでもトレンド入り。アゴラでもおなじみ中村伊知哉・情報経営イノベーション大学院学長はツイッターで「都知事選以上に盛り上がりますね」とコメント。

一方、プロの政治家とアスリート系の著名人で争われる知事選といえば、昨年8月の埼玉県知事選が想起される。この知事選は4期16年を務めた上田清司氏(元民主党国会議員)が退任し、上田氏が後継に指名した大野元裕・前参議院議員を国政野党が支援した。一方、県政奪還をめざす自民党は、元ヤクルトスワローズ選手で、スポーツキャスターの青島健太氏を擁立。激しい選挙戦となったが、大野氏に軍配が上がった。

この先例から、自民党による鈴木氏擁立論は「埼玉県知事選の繰り返しになるのでは」との指摘も出始めているが、選挙分析に定評のJX通信社代表取締役の米重克洋氏はツイッターで、

前の埼玉知事選もタレント候補がいたが、前知事の後継色が勝敗を決する鍵になっている。これがなければ大野知事が自民支持層に食い込むのは困難だったろう。熊谷氏は既に長年県庁所在地の首長で、各層への浸透に苦労することはない。対する鈴木大氏は知名度「だけではない」ラベルの提示を求められる。

との見方を示していた。