9月27日に、「高校生徒会オンラインリーダー研修 with 松下政経塾」というオンラインイベントが開催される。
全国の生徒会に関わる高校生たちや、その育成に携わる教育関係者の皆さんは、是非、参加してみてはどうだろうか。
主催する一般社団法人生徒会活動支援協会は、毎年、松下政経塾での高校生徒会のリーダー合宿を実施している。全国の高校から「学校のリーダー」である生徒会役員が集い、交流を深めるとともに、これからの学校を担う「リーダー」とはどうあるべきなのか、「リーダーとして目指すビジョン」とは何なのか、互いに切磋琢磨して探求する場となっている。
本年は、新型コロナウイルスの感染拡大などもあり、宿泊をともにする合宿が難しいため、オンラインでの1日の研修となっているが、毎年、応募が殺到しながら人数制限のためお断りしてきたが、今年はより多くの生徒が参加可能だ。また、お断りしてきた生徒会顧問など教育関係者などの参加も可能となっている。
(参考)「高校生徒会オンラインリーダー研修 with 松下政経塾」募集要項
菅内閣でも官房副長官・副大臣を輩出。総理・大臣などの輩出を続ける松下政経塾とは
松下政経塾といえば、先週組閣された菅内閣でも、坂井学 官房副長官、宇都隆史 副大臣を輩出した。
安倍政権でも小野寺五典 防衛大臣、高市早苗 総務大臣、松野博一 文科大臣など、輩出してきた閣僚を数え上げればきりがない。2011年には野田佳彦 総理大臣を輩出した他、立憲民主党の福山哲郎 幹事長、国民民主党の前原誠司 元外務大臣など、与野党を超えて国会議員を33名、県知事2名、市長9名などを輩出している。
ご存知の方も多いかもしれないが、松下政経塾とは、パナソニックの創業者である松下幸之助氏が、「我が国を導く真のリーダーを育成しなければならない」との思いで1980年に開塾した私塾であり、理想社会のビジョンをつくり、その実践者になるために未来のリーダーたちが、自修自得・現地現場で研修することをモットーに活動する塾であり、卒業生は、政治家、企業経営者、社会起業家、研究者など、さまざまな分野で活躍している。
最近では、将来の日本を担う高校生・大学生を対象に、人生について考え、志を探究するプログラム、主権者教育プログラム、「松下幸之助杯スピーチコンテスト」など、次世代のリーダー育成にも意欲的に取り組んでいる。
(参考)松下政経塾公式サイト
「経営の神様」として、現在も多くの経営者たちが、参考にする松下幸之助氏だが、85歳だった当時、松下政経塾入塾式で若者たちに伝えた話を抜粋して紹介したい。
ますます日本も世界も混迷している。自分が40年ほど若返ることができるなら、自分で世直しの先頭に立ちたいとさえ思いました。「やろう」「やめよう」と思い続けました。しかし、歳をとってからでは叶いません。それで、自分に代わって若い諸君に未来を託したいと、あらためて松下政経塾の設立を決めたのです。
政経塾の使命は、国家百年の計を創り、実践し、日本を救い、世界を救い、人々の幸福に尽くすことです。塾生は身命を賭して、この使命に徹しきって欲しいと思います。使命は重大です。「それを、諸君、やろうじゃないか」というのが、私から皆さんへの呼びかけです。
筆者は塾生ではないが、松下政経塾の塾生の皆さんに講義をさせてもらうなど、何度となく松下政経塾に行かせてもらったが、松下幸之助氏の様々な教えや話は、現在も色褪せることがない。
「日本も世界も混迷している」状況は現在も変わらず、むしろその状況は拍車がかかっているようにさえ感じる。
一方で、政界においても、経済界においても、「国家百年の計を創り、実践し、日本を救い、世界を救い、人々の幸福に尽くすこと」ができる人材は未だ少なく、その価値は、40年前よりもさらに高まっていると言える。
次の時代を担い、それを切り開いていくリーダーたちにはまさに、「それを、諸君、やろうじゃないか」と伝えたい。
現代における未来への導く真のリーダーを生み出す場としての生徒会の可能性
新型コロナウイルスの感染拡大によって、今、世界中が、withコロナ、afterコロナの社会像や未来を模索している。
2020年の現代において、求められる未来へ導く真のリーダーとは、どういうものなのか、どうすればこうした真のリーダーを増やしていくことができるのかについて、同世代のリーダーとして活躍していく高校生たち、またその育成に携わる教育者の皆さんとともに、考え、創り出していければと考えた。
その一つとして、筆者は、「生徒会」の可能性を期待している。
全国のほとんどの学校に存在し、多くの方々がその存在を認識している生徒会について、本来の役割を共有するとともに、社会状況の中における新たな役割と形を創り出すことで、大きな可能性があるのではないかと思うのだ。
現状の「生徒会」は、活動は停滞し、その多くが本来的な役割が担えていないと言っても過言ではない。
今では、多くの方々にとっての「生徒会」のイメージは、文化祭などのイベント実施組織や、ボランティア組織、役員だけによる教員たちの御用機関、という印象を持っている方々もいるかも知れない。
この「生徒会」、そもそもどうやってつくられたかご存知だろうか。
生徒会は戦後、連合国総司令部(GHQ)幕僚部の部局の一つ、民間情報教育局(CIE)の指導のもと日本に持ち込まれた教育組織だ。
戦前にも部活動の源流となる「校友会」があり、ほぼすべての課外活動を計画していたが、会長は校長が務めていた。
戦後、日本の教育の指針となった『米国教育使節団報告書』の中で「Student Council」が「学生評議会」として紹介され、1946年頃からGHQの指導により「生徒自治会」(Self-Government Committee)という組織が「教育民主化」の一環として全国化され各校に設置されたとされている。
withコロナ、afterコロナにおける教育DXやこの国の未来と生徒会の可能性
今年3月、全国の多くの学校が、新型コロナウイルスの感染拡大によって休校が余儀なくされた。教育現場は大きく変わって行くことを余儀なくされ、オンラインによる授業実施など、教育現場においてもICTを活用した様々なデジタル・トランスフォーメーション(DX)が起こり始めてきている。
一方で、生徒会活動においては、その活動がほとんど実施できていない学校も多く、全国で文化祭などの活動も中止されている事例なども多い。
教育現場が大きく変わろうとしている中で、多くの教育関係者が知恵を絞り、苦労を重ねながら新たな取り組みをはじめているが、休校による在宅学習や、様々な形で学校生活を制約されることになっている生徒が、こうした取り組みに関わっている事例はまだまだ少ない。
withコロナ、afterコロナにおける「新しい生活様式」が求められる中においては、当然、学校現場においても「新しい学校様式」や「新しい教育様式」が求められることになる。
本来、教育現場における中心であるべき生徒たちが、どのように関わり、自らが主体的に活動していけるようにしていくのかは、今後の大きな課題とも言える。
こうした中で、まさに「新しい生徒会モデル」、教育DXや教育の未来、この国の未来を担うリーダー養成など、「生徒会」の可能性について、形式をオンラインによる研修形式に変えながら、「withコロナにおける新しい生徒会」を考える場を提供することで、また、生徒会役員だけでなく生徒会顧問などにも参加いただき、高校生に向けてのリーダー研修とするとともに、「新たな生徒会」の形を生み出す場にできればと大きな可能性を感じる。
今回、「高校生徒会オンラインリーダー研修 with 松下政経塾」を主催する一般社団法人生徒会活動支援協会では、全国で活動する「生徒会」のベストプラクティスを共有することで、全国の生徒会活動の質の向上や底上げを行なっていこうと、毎年、「日本生徒会大賞」の表彰を実施している。
本年実施した「日本生徒会大賞2020」においては、新型コロナウイルス感染症拡大によって引き起こされた前例のない状況にも関わらず、その状況を変えていこう、またその状況だからこそといった多くの取り組みが数多く応募されてきた。
9月27日に行う「高校生徒会オンラインリーダー研修 with 松下政経塾」では、「日本生徒会大賞2020」の大賞受賞者からのプレゼンテーションも実施されるほか、「Withコロナにおける“ 新しい生徒会 ”、生徒会のあり方はどう変わるのか」と題した研修、グループディスカッション、松下政経塾の金子 一也 塾頭による特別講演「松下幸之助とリーダーシップ」が予定されている。
新たな時代における「新しい生徒会モデル」、また次世代の「リーダー養成プログラム」を是非、一人でも多くの生徒会に携わる高校生、また、その育成に携わる教育関係者の皆さんにご参加いただきたい。
(参考)「高校生徒会オンラインリーダー研修 with 松下政経塾」募集要項
松下幸之助氏はかつて政経塾の講話でこう呼び掛けた。
「それを、諸君、やろうじゃないか」