新幹線の「棒読み英語アナウンス」をディスってはいけない

新幹線に乗って出かける時、いつも気になるのが乗務員のアナウンスです(写真のような英語の表示もとても気になります)。

今年に入って、ある時から突然、新幹線の車内で英語のアナウンスが追加されるようになりました。

おそらく東京オリンピックを控え、JR東海の社内で英語研修を行い、英語によるアナウンスを義務化したのだと思います。

中にはカタカナのカンペを棒読みするような、ぎこちないアナウンスもあり、それをブログで酷評する大学教授などもいましたが、私はむしろポジティブに捉えています。

JR東海の車内アナウンスは、マニュアルはありそうですが、それだけではなく個々の乗務員の裁量の余地が大きいように聞こえます。

必要最低限の到着案内しかしないアナウンスもあれば、さらに突っ込んだアナウンスをしている人もいます。

また発音も完全な棒読みで、カタカナ英語の人もいれば、流暢にアナウンスしている人もいて、個人差が大きいのです。

このように、アナウンスする人の裁量を大きくすれば、当初のサービスにばらつきが出るかもしれません。しかし、乗務員のアナウンス改善へのモチベーションは高まり、将来的には全体のボトムアップにつながるはずです。

同じ英語アナウンスでも、航空会社の機内アナウンスは新幹線とは異なり、徹底的なマニュアル化がされているようです。いつ聞いても、全員がほとんど同じ内容を話しています。

この方が品質は安定し、リスクは低いかもしれませんが、客室乗務員の改善意欲は高まらないと思います。

いずれ、JR東海の乗務員の英語によるコミュニケーション力の方が、航空会社の客室乗務員を上回る。そんな状況になっても、不思議はありません。

語学の習得で大切なのは、間違えを恐れて正確に話すことではなく、間違えを恐れず、何度も繰り返すことです。

新幹線の乗務員には、自分なりの英語アナウンスを失敗を恐れずに繰り返し、いずれ個性あふれる車内アナウンスを英語でできるくらいになって欲しいと期待しています。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2020年9月23日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

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資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。