TOKIOの元構成員をめぐる報道について

TOKIOの元構成員が、交通事故を起こした。飲酒運転が発覚し、逮捕された。そんな報道を箱根の峠で知る。展望台には、ツーリングを楽しむバイク愛好家が集まっていた。ちょうどトイレに行こうとしたら、休憩をしていたライダーの一人が「うわ、山口、逮捕だってよ」と叫んでおり、気づいた。

交通事故には注意しなくてはならない。飲酒運転など言語道断だ。詳細な事実が明らかになるのを待ちたいし、法律のもと、適切な対応を行わなくてはならない。法を犯した点においては同情の余地はないし、擁護もしない。

しかし、「元芸能人」さらには「依存症」に苦しむ人に対する報道という点で、憤りを感じている。元TOKIOの構成員であることを書く必要があるのか。さらには彼がアルコール依存症に苦しんでいるとしたならば、報道の仕方には配慮が必要ではないか。卑劣漢そのものではないか。

ぱくたそ

報道の中には(適切ではないと思うので、詳細はあえてぼかすが)、居住地やその種類、婚姻関係など、いかにもな凋落ストーリーと重ねて書くものがあった。依存症に苦しむ人について伝える報道として適切だろうか。

また「だらしない」などと断じることは、必ずしも適切ではない。依存症については、医学的、社会的な理由があり、自己責任、自業自得だと断じることは適切ではない。

芸能界復帰が絶望的という報道もあったが、これもまた凋落ストーリーだと断じる報じ方である。まずは、健康な体と心を取り戻す支援が必要だ。

「叩いてもいい人認定」そのものではないか。

一市民として、微力ではあるが無力ではないと信じて声をあげた次第である。別に私はTOKIOのファンでも、元構成員のファンでもない(マッチさんとKinKi KidsとV6は大好きで、SMAPは同世代なので特別な想いがある)。しかし、この人権を踏みにじる報道に、満腔の怒りがこみ上げ、勇躍決起した次第である。荒ぶる魂を今日も、戦闘的に高揚させたのだった。極悪非道の報道関係者にたいして腹の底からの弾劾を叩きつけよ。


編集部より:この記事は千葉商科大学准教授、常見陽平氏のブログ「陽平ドットコム~試みの水平線~」2020年9月23日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。