世界第2位の観光国であり、GDPの12%を担っているスペイン。今夏の外国からの観光客は75%減という最悪の状態に陥っている。
スペインは昨年8300万人の外国からの観光客を受け入れた。ところが、今年に入って7月までに外国から訪れた観光客は3475万人減というに厳しいものになっている。昨年と比較して72.4%の減少となった。この減少の影響で観光収入は昨年比379億300万ユーロ(4兆5500億円)の減収につながったことになる。
例年だと7月と8月は外国からの観光客がピークになる時期であるが、今期はこの2か月僅かに246万4441人の訪問客があっただけで、それは昨年同期比の75.04%減となる。すなわち、昨年と比較しておよそ740万人が訪問しなかったということになる。それは95億ユーロ(1兆1400億円)の減収を意味するものになる。
7月だけに焦点をあてて見ると、訪問客が一番多かったはパルマ・デ・マジョルカやイビサを含めたバレアレス諸島州の59万人。それに続いてカタルーニャ州の44万人で昨年比81.6%減、バレンシア州の38万3000人で同じく69.2%減となっている。マドリード州も87.8%の訪問客の減少になっているという。
筆者が在住するバレンシア州の首府バレンシア市内を訪問しても中心街にある外国からの観光客が良く食事をしているレストラン街では空席のテーブルが目立つようになった。昨年だとこの時期はどのレストランでも大半のテーブルは埋まっていた。
訪問客を国別に見ると、英国、フランス、ドイツの3か国からの訪問客が例年だと全体の40%程度を占めているが、7月のこの3か国からの訪問客数は次のようになっている。
フランス59万7244人で昨年同月比58.4%減、ドイツ43万2302人で65.2%減、英国37万7886人で82.5%となっている。例年だと英国人が訪問客として常にトップの座を占めているが、陸続きではなく大半が飛行機での訪問ということがマイナスに影響したようだ。
また、観光収入の面から見ると、7月の同収入は24億5000万ユーロ(2940億円)という結果に終わり、昨年同月の119億4100万ユーロ(1兆4330億円)と比較すると如何に厳しい状況になっているかが一目瞭然である。(ここまで参照:elpais.com)
だから多くのホテルや土産物専門店が7月と8月の観光ピーク時でも閉めているというのも頷ける。バレンシアの場合の8月のホテルの客室稼働率は40%に過ぎなかった。これだとホテルの諸経費を考慮すると閉めておく方が出費が少なくて済むということになる。(参照:okdiario.com)
全国レベルでも同じような稼働率になっているということから、現在営業しているホテルでも9月中旬以降は年末のクリスマスシーズンまで閉めるホテルがさらに増えそうだ。リゾート地のレストランやバルもホテルと同じように閉店するところが多く出て来るはずだ。閉店で済めばよいが、廃業するところも結構出て来ると思われる。