DV相談を行う社会的包摂サポートセンターさんが、DVについての理解を深めてもらおうと「#DVの10の事実」というキャンペーンとDV相談員の採用を行っているのですが、サイトを見て驚きました。
配偶者からDVを受けたことが「ある」と答えた女性は31%。実に約3人に1人の女性がパートナーから暴力を振るわれている、と。
日本では児童虐待とDVって別概念で存在しているんですが、明らかに陸続きです。児童福祉の分野で活動する我々にとって、DVは切っても切り離せません。
コロナによる影響も深刻です。加害者の在宅時間が増えたため、DV被害件数が世界中で増加していると言われているんですが、日本でも、DVの相談件数が約3割増加しているそうです。
目黒の結愛ちゃんの虐待死事件では、初めて一時保護された2016年12月、結愛ちゃんは「ママもパパにたたかれている」と児相職員に伝えていました。対応にあたった香川県の児相側は、DVを疑って母子の一時保護を提案していますが、母親自身が暴力を否定したと説明しています。
そして児相の所長はこう話したそうです。
夫婦の面談をへて「夫の考えに従う傾向があるように感じたが、保護する判断には至らなかった」という。そのうえで「DVは自発的に相談を希望することが前提になっている。児童虐待のように行政が介入的に支援する制度的枠組みがなく、苦慮している」
虐待に対するツールだったら、まだ介入や接見など対応方法があるんですが、DVに対するツールってめちゃくちゃ弱いんです。
お子さんを思って離婚に踏み切れないケースは少なくありません。
DV被害当事者の方に離婚をしない理由をたずねたら、「子どものことを考えたから」と答えた方が6割を超えます。子どもの前でDVを振るう面前DVも児童虐待であり、年間通報件数は約8万件にも及んでいます。
日本の至る所にDVや虐待が潜んでいると言っても過言ではなく、支援の手は圧倒的に足りていません。支援の拡充が望まれますが、まずは目の前の被害者を救うDV相談員を増やすことも重要です。
ぜひこちらのサイトを見てDV問題を知って頂いて、Twitterやfacebookで拡散してもらえたらと思います。
編集部より:この記事は、認定NPO法人フローレンス代表理事、駒崎弘樹氏のブログ 2020年9月28日の投稿を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は駒崎弘樹BLOGをご覧ください。