今週のメルマガ前半部の紹介です。トヨタが定期昇給を100%成果分とし、低評価の社員は昇給もゼロとする新制度の導入を決めたことが話題となっています。影響力のある企業なので他社にも波及する可能性が高いですね。
ただ、多くの人は「毎年の昇給にちょこっと差をつけるくらいでしょ?」と割と軽く受け止めているようにも見えます。実は昇給を成果分のみにするということは人事制度全体に大きな影響を及ぼすことでもあるんです。
というわけで、今回は昇給と人事のデリケートな関係についてまとめておきましょう。
日本型雇用を安定させてきた定昇という名のストッパー
当たり前ですが、会社の中には様々な仕事が存在し、その価値も組織への貢献度も千差万別です。
たとえば同じ営業職でも、東京で大企業相手の法人営業部に配属されるのと、埼玉の営業所に配属されるのでは、扱う金額も経験も組織への貢献度もまるで違うわけです。10年経ったらキャリアという点でも大きな差が生じていることでしょう。
そして日本型雇用では配属先はすべて会社が決定し、その後の異動も会社の都合で決まります。別に悪気はないけど埼玉、茨城、群馬と異動が続いちゃう人もいれば、ずっと東京で大手町勤務という同期も出現してしまうわけです。
フォローしておくと、じゃあ売り上げの少ない事業所がいらないかと言えばそんなことはありません。全国一律のサービスを提供するという会社にとって欠かせない使命を立派に担っているわけです。スポットライトが当たらずとも誰かがやらなきゃならない仕事なんですね。
当たり外れのある仕事を、腐らせることなく業務命令一つでいかにして受け入れさせるか。その鍵となるものが横一律の昇給だったんですね。
本社の花形事業部に配属された人間も、地方の営業所に配属された人間も、等しく勤続年数に応じて昇給していく。言い換えるなら、一律の昇給というのは、日本型組織を安定させるストッパーのようなものだったんです。
それを見直すのであれば「君は地方の営業所に配属するから組織への貢献度も少ないし昇給額も少ないのはしょうがないよね」というのを納得させるロジックが必要となるわけです。
以降、
ストッパーを捨てるなら最低限これはやれ
定昇見直しは止まった歯車を動かす
Q:「休職は転職の際に不利になりますか?」
→A:「時期と中身によりますね」
Q:「〇〇〇の最近の矢継ぎ早の改革プランをどう判断されますか?」
→A:「筆者が教えてほしいくらいです」
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編集部より:この記事は城繁幸氏のブログ「Joe’s Labo」2020年10月8日の記事より転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はJoe’s Laboをご覧ください。