また領海侵犯、日本ができる対抗策はこうだ!

今週11日の午前10時47分頃から中国の公船が相次いで大正島沖(沖縄県石垣市)の領海に侵入し、13日午後8時19~26分頃に領海を出ました。すなわち、中国の船が日本の領海侵犯を犯していたんです。その時間は57時間39分と中国の領海侵犯としては最も長い時間です。一応テレビなど日本のマスコミも伝えていましたが、淡々と報道していましたけれども、皆さん大問題ですからね。

事の経緯は、大正島沖で日本の漁船が操業していたところ、中国の公船2隻が漁船に接近しようとする動きを繰り返したため、周辺海域を毎日警戒していた海上保安庁の巡視船が、漁船の安全を確保しながら中国公船に無線などで領海からの退去を求めたわけです。しかし、中国公船はすぐに出ていかず、57時間以上も領海内に居座ったということです。

これまでもこのブログで何度もお伝えしてきましたけれども、領海に他国の船がやってきて、退去を求めても出て行かなかった場合、これはすなわち敵対行為なんです。そうした場合、国際的にはどうなるのか。これ本当に基礎の基礎の常識ですけれども、銃撃することになり、戦争に発展するかもしれません。

ところが、なぜ日本は銃撃をしないのか。これは、はっきり言って中国との力関係もあり、戦争にはしたくないわけです。これは当然のことだと思います。

そしてもう一つ、日本の基本スタンスは「日中間には領土問題は存在しない」ということで、裏を返せば尖閣諸島はれっきとした日本の領土であり、何ら問題がないというスタンスだということです。これに対して中国は何を考えているのかというと、「尖閣諸島は自分たちの領土だ」と主張しているわけです。だから挑発をしてくるわけです。

そして、これに日本が対応すれば日中間の問題になりますよね。すなわち国際紛争になってしまいます。要するに、中国はあそこは日中間で揉めている紛争地域であるとして、国際的な大問題にしたい。しかし、日本は日本の領土であって、そもそも何にも問題は存在しないという違いなんです。日本が国際問題にしなくとも、中国は頻繁に訪れる事で、「あそこは別に日本の領土でもなければ領海でもない。だから、我々は頻繁に行っているという実績作りにもなるわけです。

8年前の2012年、フィリピンの領海にあった南シナ海のスカボロー礁ではフィリピンの漁船が長年にわたって漁業を行っていました。そこに中国がやってきて奪い取って今は中国の支配下にあります。このとき中国がどうやってそのエリアを奪い取っていたのか。まず中国の漁船を送り込み、漁船の保護という目的で中国の海警がやってきて、さらには中国の海軍が進出し、フィリピンの漁船などを全部追い出したんです。

これまで日本は日本人が住んでいた尖閣諸島を海上保安庁の巡視船によって365日24時間体制で守り続けてきました。2012年、海上保安庁が保有する1000トン以上の巡視船の数は51隻、中国海警は40隻でした。それから7年後の数は、海上保安庁が66隻、中国海警が130隻と7年間で逆転し、大きく引き離されました。

はっきり言って、中国はなりふり構わず領土・領海を広げる国です。だからフィリピンだけではなく、ベトナムやインドなども中国に取られてしまいました。ですから、安全保障の議論を行い、日本政府がしっかりとした対抗策をとってくれることを願うしかありません。

皆さん、こういうことが海上保安庁の増強や自衛力そして何よりも憲法議論そのものなんですよ。


編集部より:この記事は、前横浜市長、元衆議院議員の中田宏氏の公式ブログ 2020年10月15日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。