福島第一原発の「処理水」敷地内保管のタイムリミットが迫る中、菅政権は海洋放出に向けて動き出した模様だ。15日深夜からマスコミが電子版で速報し始めていたが、「初出」は地元・福島のメディアだった。
東京のメディアに5日先駆けたのが福島民友新聞。10日付で「海洋放出へ『最終調整』」と報じた。
東京電力福島第1原発で発生する放射性物質トリチウムを含む処理水について、政府が処分方法を海洋放出に絞って最終調整していることが9日、関係者への取材で分かった。近く政府が処分方針を判断するとみられ、保管タンクが林立することで敷地が逼迫(ひっぱく)し、廃炉作業の課題となっていた処理水の取り扱いが大きな転換点を迎える。
ただ、「フライング」気味だったか、福島県内に取材拠点を置くほかの全国メディアはすぐに反応しなかった。
しかし、13日昼、福島中央テレビ(日本テレビ系列)が「独自・今月下旬にも処理水の処分方法決定へ」と裏付ける形で報道。地元メディアの報道から数日かかってから、毎日新聞が15日22時29分に「汚染処理水の海洋放出決定へ 政府方針、月内にも」とデジタル版で速報。共同通信も23時過ぎに「海洋放出、月内にも決定」と配信した。他社も翌日朝刊にかけて同調し、日本経済新聞は一面トップで掲載した。
こうした中で異彩を放っていたのが朝日新聞だ。各社が「処理水」と記述する中で、朝日だけは前日の報道で「汚染水」と表記している。
海洋放出に反対、全漁連会長表明 汚染水、政府意見聴取(朝日新聞デジタル)
なお、15日夜から16日朝にかけての各社の電子版での表記を確認すると以下の通りだ。
- 読売新聞「処理水」
- 朝日新聞「汚染水」
- 日本経済新聞「処理水」
- 毎日新聞「汚染処理水」
- 共同通信「処理水」
- 東京新聞「汚染処理水」
※産経は電子版で掲載せず
なお、共産党の機関紙「赤旗」は以前から「汚染水」と表記しており、朝日新聞は赤旗と同調し続けている。
【更新】朝日新聞は16日昼前の報道では見出しを「処理水」とした。