自殺者増加…何があっても生きる

よくない話ですが今、自殺者が増えています。先月9月の全国の自殺者は1805人。去年の同じ時期よりも143人増えたことになります。実は今年の7月以降、3ヶ月連続で前年に比べて自殺者数が増えて、9月は昨年より143人増えて8.6%の増加となりました。

誰もが直接的な原因を新型コロナウイルスが原因じゃないかと考えると思いますが、新型コロナウイルスの感染者数のピークは7月下旬ごろでした。その一方で、今年の春は前年と比較して自殺者は減っていたんです。例えば4月は1,457人で、これは19.7%の大幅減なんですね。直近5年と比較しても明らかに自殺者が少なかったんです。実は4月12日が、春の感染者が増加している時のピークでした。しかし、4月の自殺者数19.7%減なんです。さらに、5月も前年比で19%減、6月も6.2%減となっていて、コロナの感染者が拡大していたのに、大幅に減っていまました。とすると、直接的な原因はコロナではなさそうです。

さっきコロナが原因だと考えた人にとっては意外なように思えると思えるんですね。私、以前このブログで「日本は失業率が1%増えると、自殺者が2000人増える」と言いました。要するに経済状態が悪くなると自殺が増えるということを意味しているわけです。そこで、失業者数を見てみましょう。新型コロナが騒がれ始めた2月の失業率は2.4%でした。そして、5月には2.9%となり、6月は2.8%、7月は2.9%、そして8月はついに3.0%と、いよいよ3%台に乗りました。

先ほど、9月の自殺者数や割合を言いましたけれども、実は自殺者が明らかに増えたのは、8月からなんです。8月は1,805人と12.6%増でした。私にはややはりという思いがありますが、実に興味深い記事が日経ビジネスのデジタル版に載っていました。

新型コロナ、もう1つの命の危機『4月に自殺者が減ったのは「テレワークで人に会わないから」は本当か』(日経ビジネス 2020年6月10日)という特集記事の中で、日本産業ストレス学会理事の夏目誠さんという医師が言っていた言葉です。「想定外のところまで人々の思考が停止しが止まれば、行動が止まると推測しています。」そして、「過去の経済情勢の悪化と自殺者との関係をみたとき、9月ごろからは雇用情勢の悪化とともに自殺者数が増えてしまうと考えられる。感染による死者数より、借金などによって苦しんで亡くなる人が増えてしまう聞きが迫っている」と続いています。

要は、4月や5月の自殺者が大幅に減っている理由は「思考停止」だというんですね。そして9月頃からは増え、感染による死者数より、借金などによって苦しんで亡くなる人が増える危機が迫っていると書かれていますが、この記事が出たのは6月10日、今まさにその通りになってきてますね。

今withコロナと言っていますけれども、コロナはもう日常的になってきているわけですね。コロナそのものはすぐになくなるわけではありませんので、経済を回して日常生活を元に戻していこうと、日本だけでなく世界的にそうなりつつある一方で、失業率がじわりじわりと上昇している。それが自殺者を増やしているという状況ですね。

もう一つ、ちょっとぞっとする数字があります。9月の自殺は、男性が0.4%増なのに対して女性が27.5%増となっていて、女性が大幅に増えています。自殺の理由を聞き取るわけにはいかないわけですけれども、今後の分析を待ちたいと思います。

私、以前テレビ出演の際にタレントのIMALUさんとご一緒したことがあります。IMALU(イマル)さんの名前は明石家さんま(父)さんの座右の銘「生きてるだけで丸儲け」と、大竹しのぶ(母)さんの「今を生きる」から名付けられたそうです。その理由を私は知っていましたので、すこし話しをさせていただいたことがあります。

本当に、何があっても生きていればまたやれる。生きているだけで丸儲けですから。

何があっても生きる

編集部より:この記事は、前横浜市長、元衆議院議員の中田宏氏の公式ブログ 2020年10月22日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。