今更なぜ朝鮮戦争の議論で盛り上がるのか?

今更ながら海の向こうで朝鮮戦争をめぐり熱い議論が展開されています。日本ではあまり話題になっていません。色々調べてみるとことの発端は習近平国家主席の10月23日の発言だったようです。

(写真AC:編集部)

(写真AC:編集部)

「『(習氏が)抗米援朝戦争は帝国主義の侵略に対抗する偉大な勝利だった』としながら、中国の韓国戦争(朝鮮戦争)参戦が米国の挑発のためだったとでも言わんばかりに歴史的事実をわい曲した」(中央日報)と報じています。

これを受けて駐韓米国大使も10月30日に「1950年、韓国と米国、国連派兵国はともに北朝鮮の南侵に対抗して戦った」と反論。それに対して北朝鮮メディア「わが民族同士」は「朝鮮戦争が米帝と李承晩徒輩らが挑発した侵略戦争ということは決して否認できない厳然たる歴史の真実」「南朝鮮の気に障る『南侵』主張は歴史に対する無知愚昧な歪曲であり挑発だ」と述べています。南侵とは北朝鮮が韓国を攻め入ったことを示します。

今日、なぜ、この朝鮮戦争話題を振ったのかと言えば文大統領が熱く語る統一コリアが本当に誕生する余地があるのだろうか、もう一度おさらいしたいと考えたからです。朝鮮半島の歴史の話をすれば非常に長くなるのでそこは割愛し、今日は今まであまり焦点を当ててこなかった終戦から朝鮮戦争の頃の半島の実態を探ってみたいと思います。

朝鮮戦争、1950-53年で現在においても休戦状態にあります。日本では戦後の厳しい生活が「朝鮮特需」で経済活動が活発化したぐらいにしか教科書では出てきませんし、実際、その頃、朝鮮半島で何があったかほとんどの方は興味もないと思います。しかし、1945年の終戦から50年ぐらいまでの間をある程度紐解くと朝鮮半島の無茶苦茶ぶりが見えて文大統領がいう統一コリアなんて夢のまた夢ではないかと思わざるを得なくなります。

朝鮮戦争は何だったか、一言でいうと中国とソ連の戦い、およびアメリカがそれに乗っかかった巨漢同士の争いで最終的には朝鮮人は戦争の主役ではないというのが事実だと思います。ごく簡単に一言でいうと北朝鮮が韓国側に攻めた50年6月にソウルで「謎の3日間」と称される歩を止めた時があります。これが全ての間違いにつながります。それが原因で9月にはアメリカが押し返し、金日成は恐怖におののき、満州に逃げます。ここで出てきたのが毛沢東率いる中国軍です。

中国はそもそも何をしたかったのかといえば満州をソ連から取り返したかった、そのためには朝鮮半島の一定の支配が必要だった、これだけです。毛沢東にとって都合がよかったのはソ連のスターリンがなぜか朝鮮戦争のときに死んだのです。(暗殺説もあり)この後のフルシチョフは全然だめで毛沢東は戦線の全線で指示をしながら満州の支配権を取り戻しているのです。

では、毛沢東にとって金日成は何だったか、といえば重視をせず、利用しただけだったということだと思います。金日成は逆に毛沢東とスターリンを天秤にかけたと自負していますが、それはないでしょう。

一方の韓国はどうだったかいえばこちらはもっとひどいのです。李承晩と言えば韓国建国、初代大統領と学校では習っているはずです。ところが韓国は独立前に未曽有の大混乱に陥っています。理由は日本統治時代は安定し、国家の形づくりが行われていたのに日本がいなくなり、テロリストの金九やヤクザのような李承晩らが覇権争いを行い、李承晩が内戦の敵を全部暗殺して覇権したという話です。

李承晩は済州島での島民大虐殺を含め、とにかく自国民で思想に反する者は虐殺、暗殺の連続で朝鮮戦争になっても戦いにならなかったというのが正直なところであります。結局そうみると朝鮮戦争では北朝鮮も韓国もまともではなく、当事者不在の代理戦争そのものであったのです。そしてその最終構図は中国VSソ連で中国が勝ち上がり、中国VSアメリカで今だにガチンコ勝負という形です。

それが歴史なのに文大統領が統一コリアなんて言うのは歴史を知るアメリカからしたら笑わせるんじゃない、ということなのでしょう。冒頭の習近平、駐韓米国大使、北朝鮮の談話全てがバラバラであるのは朝鮮戦争が休戦になって67年も経つのにさっぱり進展がないのは誰が主役かわからないからともいえます。

個人的には文大統領のいう統一コリアは私が生きている間はないと思います。仮にそれが化かしあいの結果、まとまったとしても3日後には喧嘩別れするような国民性です。半島の人は反日を掲げますが、彼らは誰でも自分とウマが合わないと嫌いになる性格なのです。すり寄ってくる人が大好きだけどチューインガムのようなものでしばらくして味がなくなるとポイと捨てるのです。

但し、中国にはあまり頭が上がらない、けれど最近はアメリカにはかなり言いたい放題になっている、これが現状だと思います。日本は朝鮮半島に近づくな、という意見がこのブログのコメントにも数多く寄せられてきました。これは右とか左といった思想の問題ではなく、かなりやりにくい相手だということを日本人は改めて理解すべきだと思います。

では今日はこのぐらいで。


編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2020年11月1日の記事より転載させていただきました。