大阪都構想は、今回も僅差でかないませんでした。
賛成派、反対派とも必死の、壮絶なキャンペーンを展開し、最後までどちらに転ぶかわからないところまでいきました。市町村合併や学校の統廃合でもそうですが、長年親しんだ自治体や母校がなくなることには、誰でも寂しさと不安を抱きます。その中で一歩踏み出して新しい道を歩むことは、そう簡単にできることではありません。今回も最後の最後まで、もつれるだろうなと予想はしていました。
今回非常に残念だったのは、無党派層の方々の賛否の割合です。6割の方が反対票を投じました。無党派層にしっかり都構想の中身や、反対派が指摘した住民サービスの低下に対する疑問を説明しきれなかったことは、推進派として大きく反省しなければならないと思います。
もちろん、デマや誤報道が大きく影響したことは事実です。しかし、投票する方々が、そういう情報も目にした上で、しっかり賛成していただける、そこまでもっていけなかったことは、やはり説明不足、対策不足だったのでしょう。
でも、橋下さん、松井さん、吉村さんはじめ大阪維新の会の皆さんが心血を注いでやってこられた大阪のまちづくりが否定されたわけではありません。府と政令市が併存し続けることにより、首長が変われば二重行政などの弊害が再び生じるリスクは残ります。
ですが、この10年間に行ってきた改革の成果を実感し、二度と同じようなちぐはぐを繰り返さない、と、どの政党の政治家も心に決め、大阪市民も行政をチェックするようになれば、過去に戻ることは防ぐことはできます。それが制度的に担保されないことは非常に残念ですが、この住民投票を通じ、大阪市の方々が、常に府と市の行う行政サービスが最適化されているかどうかを見る目を持つようになっていただければと思っています。
私は、この大阪都構想という大都市制度が、他にも同じ問題を抱えた大きな政令市と府県との関係にも適用しうる制度だと期待していたのですが、その希望はかないませんでした。しかし、時期が来れば、またわが国の大都市制度を見直す機会や、国全体の構造を見直す機運が高まってくると思います。
結果は大きな挫折でしたが、このことがきっと将来、日本のよりよいまちづくり、国づくりに生きると考えています。
最後に、松井さん、吉村さんはじめ、大阪維新の会の皆様、都構想の実現に向けて情熱を注がれたすべての方々、本当にお疲れさまでした。