今の維新にどれだけの人材が揃っているのかは、寡聞にして知らないが、国民民主にはそれなりの人がいることは、ある程度承知している。
いわゆる中道保守と目されている方々の身の処し方は、なかなか難しく、有能な人は何かの切っ掛けですぐ自民党に取り込まれてしまうので、いつまで経っても中道保守の方々は大きな城を築くことが出来ないという憾みがある。
自民党は、選挙に強い中道保守の人ならドンドン呑み込んでしまえる鵺的な政党なので、余程のことがない限り、あまり弱くならない。
もっとも、それでいいのか、ということになると、自民党一強、安倍一強のようなせいじになってしまうので、私自身は、あまりいいことではないだろうと思っている。
自民党の中でしっかり切磋琢磨が行われているのであれば、それはそれでもいいのではないか、という言い方も出来ないではないが、大体は十分な切磋琢磨が行われず、本当の競争相手がいない状態が続くことによって次第に緊張感が失われ、様々な面で劣化が目立つようになるものである。
事勿れの前例踏襲主義が跋扈したり、幹部の意向を忖度するようになって、何も言わなくなってしまう羊の集団になってしまう虞がある。
ある程度は内部でそれなりの自浄作用が働くだろうが、外部に相当強力なライバルがいる時のようにはまずならない。
適当に新陳代謝が図られていれば、それはそれで内部の改革が進み、組織として活性化するだろうが、それでも外部に強力なライバルがいる時のようにはならない。
自民党に誘われても絶対にその誘いに乗らないような中道保守の固い塊を作れるかどうかが、結局は日本の政治の劣化を防ぐ重要なカギになるのだが、これがなかなか難しい。
中道保守と目される、いわゆるこれぞと思うような人材も、選挙が目前に近づくと、あっという間に自民党の誘いに乗って自民党に入党したり、自民党と同一会派を組むようになってしまう。
私が期待しているのは、自民党とは別の、穏健保守、中道保守と言われる方々の新しい強力な塊である。自民党を凌駕出来るような新たな穏健保守、中道保守の塊を創り上げることによって、本当の切磋琢磨の場が現出し、日本の政治の活性化が実現し、政治の劣化を防ぐことが出来るようになるのではないか、と考えている。
単なる非自民の政治勢力の結集を目指しているわけではない。
そういう目で、維新と国民民主の動きを見ているところである。
維新と国民民主の間で、憲法問題についての意見交換の場が出来そうである。
これからどういうことになるのか分からないが、多分、大方の国民にとっては期待してもいいのではないか。
編集部より:この記事は、弁護士・元衆議院議員、早川忠孝氏のブログ 2020年11月6日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は早川氏の公式ブログ「早川忠孝の一念発起・日々新たに」をご覧ください。