菅首相に比べて蓮舫氏や辻元氏は叩き上げなのか

菅首相が叩き上げなら自分も辻元さんも、と蓮舫さん

蓮舫氏公式ツイッターより:編集部

東スポによると、蓮舫さんは、5日に新宿駅南口で行われた「立憲大作戦」で、枝野幸男代表らと菅政権を批判し、秋田県出身の叩き上げ政治家と伝えたマスコミを「ごますりメディア」扱い。

「(叩き上げの)基準が2世、3世の議員じゃないというのなら、これがまずおかしい。そんなことを言ったら、私や辻元さんだって叩き上げですよ!」

と訴えたそうだ。

菅首相は最下層からのし上がってきたのではないが、辻元氏はともかく、東アジアを股にかけた大富豪の政商の家に生まれ、東京でも屈指の金持ち学校である青山学院初等部からエスカレーター式に登ったのが叩き上げなら、どういう人が叩き上げでないのだろうか。

もしかすると蓮舫さんは、自分の力でのし上がろうと、タレントをめざし(と言っても青学出身のお嬢様というのがウリだったと記憶するが)、庶民でも躊躇する大胆な写真まで撮らせ、自分の国籍まで隠して(自分は二重国籍であることを知らなかった。二重国籍だといっていた過去の発言はセールトークだったつもりだったが結果的には本当だったという言い分らしいが)のし上がったほど苦労したのだから、叩き上げだといいたいのだろうか。

いずれにせよ、菅首相と比べたらはるかに容易にのし上がれる環境にあったことは間違いない。

そして、辻元さんの叩き上げ度合いも少し留保が必要だ。辻元清美さんは堺市立東三国丘小学校、大淀町立桜ヶ丘小学校、高槻市立如是小学校、大阪市立愛日小学校(現:大阪市立開平小学校)、奈良教育大附属中学、愛知教育大学附属高校を経て、2年間、デパートで働いて資金を貯めて早稲田大学教育学部に入学し6年間かけて卒業している。

辻元清美氏ツイッターより:編集部

まず、世の中の受け取りからすれば、地方都市で国立大学の附属中学とか高校というのは、贅沢な選択で平均以下の所得の子どもが行くことはない。私も滋賀大学の附属中学だが、公立と違って授業料もいるし、通学費用もかかるし、なにかと周囲も贅沢だった。

男子なら私立でいい学校も多いが、当時はみな男女別だったから、そういう選択をしなかったのは、経済状態からと思えない。周囲からも学校からも恵まれた家庭に育っている人がほとんどなのだし、世間でそうみられてもいるのだからそのつもりでといわれた。

関西の人間にとっては、地元の国公立や私立でなく、東京の私立に行くのは並外れた贅沢である。まして、早稲田は法政などよりかなり授業料も高かった。そういう選択を許してもらえるのは、かなり上の所得層だ。

本人の苦労話はいろいろあるだろうが、履歴書から見れば、比較的に恵まれた環境だったように見えるのは事実だ。

ところで、「叩き上げ」という言葉はどう使うべきかと言えば、その人の現在の状況を得た人の標準的な経歴と比べてということであろう。

たとえば、企業でなら、高卒とか大卒でも本社の総合職などでない採用で、それなりの地位についたら叩き上げといわれる。

役所では、普通ならキャリア官僚しか就かないポストにノンキャリアが就いたら叩き上げだ。

学者の世界では、大学院に残って博士になってというルートでなく教授になれば、叩き上げだ。寄り道をしてきた研究者への差別意識が強い世界である。学会に属してないと民間研究者とかいわれる。

医者の世界では、医学部を出ないでほかの医療関係の仕事をしていても、医者になるための傍系コースはそもそもなく、薬学部を卒業した一流の研究者でも医学部に入り直すしかないから、叩き上げはありえない。

政治家では、二世はもちろん、官僚、タレント、松下政経塾出身者、弁護士、実業家、労組幹部などで、最初から国会議員になるものがエリートだろう。地方議員、秘書などから始めた人を普通は叩き上げというのだろう。そういう意味でいえば、代議士秘書、市会議員を経て代議士になった菅首相が叩き上げでなかったら、誰が叩き上げだということだろう。

もちろん、秘書や地方議員でも世襲議員などが予定されたステップとしてそれを経た場合は叩き上げとは言わない。安倍前首相や福田元首相も秘書官などをつとめたが、誰も叩き上げとは言わない。

野田聖子氏も県議をつとめたが、これは、必ず、将来の立候補が約束されていたわけでないから、中間的存在。菅直人氏は裕福な家庭に生まれて、その背景があって市民運動などしていたので、これも中間項。野田佳彦元首相は、松下政経塾の第一期生としてパナソニックなどの全面的支援を受けての立候補だったから、スポンサー付き叩き上げ。ちなみに、そのときに、政経塾の指令で半年間、千葉に住まわされて選挙運動を手伝ったのが、高市早苗前総務相。こっちのほうは、叩き上げ度が少し上だろう。