東京オリンピックが開催できるのかは「誰にもわからない」

国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長が来日し、東京都の小池百合子知事、菅義偉首相、大会組織委員会の森喜朗会長などと面会をしたと日本経済新聞が報じています。

記念撮影に応じる菅首相とバッハ会長(官邸サイト)

バッハ氏は「来年、必ずや妥当な数の観客をスタジアムに入れることができると思っている」と話し、来年の東京オリンピックを観客ありで開催することに自信をを示したとしています。

しかし、バッハ氏が自信を示しても、開催できるかどうかは今後のコロナウイルス感染拡大がどのようになるかにかかっています。例え、日本国内での感染がある程度抑えられたとしても、現状のような欧米での感染拡大が続けば、アスリートの来日も難しくなり、観客も海外から呼ぶことは難しくなるでしょう。

さらに、もし国内での感染拡大が再び起こる状態になれば、日本にいる人たちも会場に入れることに制限が出てきます。

オリンピック開催中止は何としても避けたいというのが、関係者の意向ですから、開催が危ぶまれる事態になったとしても、ギリギリまで開催中止の判断はしないはずです。

今回のバッハ会長の来日に際しては、開催中止というシナリオについても、話し合いがされているはずです。どのような条件になったら、いつまでにといった具体的なシミュレーションも確認されたと推察します。

東京オリンピックが中止・延期になれば、日本経済に大きな打撃という意見もあります。マイナスの影響であることは確かですが、そのインパクトは多くの人の想定よりも小さいというのが、私の見立てです。既に、規模縮小、開催中止といった可能性が織り込まれているからです。

コロナウイルス感染拡大が抑えられた状態で、気持ちの良いスポーツの祭典になれば最高ですが、関係者のエゴで無理矢理開催する白けたオリンピックになるくらいなら、無理をしない方が良いと思います。

ただ、中止や延期になると、オリンピックを目標に日々努力を積み重ねてきたアスリートにとっては、大きなショックです。それを思うと、とてもやるせない気持ちになります。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2020年11月17日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。

アバター画像
資産デザイン研究所社長
1964年生まれ。東京大学経済学部卒業後、住友信託銀行に入社。1999年に株式会社マネックス(現マネックス証券株式会社)の創業に参加。同社は、東証一部上場企業となる。その後、マネックス・オルタナティブ・インベストメンツ株式会社代表取締役社長、株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長を経て、2011年クレディ・スイス証券プライベート・バンキング本部ディレクターに就任。2013年、株式会社資産デザイン研究所設立。代表取締役社長に就任。一般社団法人海外資産運用教育協会設立。代表理事に就任。