わたしが主催しています「21世紀を生き残るための「永江 虎の穴塾」では塾生を募集しています。コロナ禍の間、希望者は毎月30分。わたしと1:1でzoomでブレストができます。ひとりずつ丁寧にやってますよ。
ちなみに来週月曜にはわたしが「アクセスの取れるブログのコンセプト作り」についてセミナーを行います。
ちょっとテレビ見てて思ったんですが、お医者さん、特に「医師会会長」みたいな素人が見たらお医者さんの代表(実際には入るのも任意の利益団体だそう)という形でテレビでコメントするときは本当に気をつけていただきたいと思うことがあります。
中川氏は感染拡大とトラベル事業との関連性を問われ、「『Go Toトラベル』自体から感染者が急増したというエビデンス(根拠)はなかなかはっきりしないが、きっかけになったことは間違いないと私は思っている。感染者が増えたタイミングを考えると関与は十分しているだろう」と話した。
これだけを聞くと素人のコロナ脳さんたちは
すぐにもGo To止めろガー!!!
と騒ぎだし、わたしのTwitterにもたくさんの罵詈雑言ヤーがやってきました。しかしコロナ怖いの皆さんにもまずはこちらを見て欲しい。
失業者の増加と有効求人倍率の低下と共に7月から自殺が急増しています。特に10月は凄まじく、昨年比で614人も増えました。コロナの死者は200人もいっていません。バブルの時は崩壊してから2年して自殺が増えましたがコロナ禍では非常にハイペース。普通の年は4月にピークを迎えて下がるのに今年は7月から爆上がり。このペースですと昨年比で2000人くらい増えるかもしれません。
こちらはバブル崩壊時。当時は女性の就業率が低くて自殺は男性ばかりでした。
経済学者の松本 貴典成蹊大学教授がQUORAで試算された内容です。
ここ30年間だけを採って計算してみると、完全失業率が1%上昇すると自殺者が4600人ほど増加することがわかります。
これは裏を返せば、完全失業率が0.24%上昇するだけで、自殺者が1000人をこえることを意味します。2020年度の就業者数は6687万人なので、この0.24%はおよそ16万人に相当します。0.24%の完全失業者率の上昇は比較的よく観察される変化であり、したがって、景気悪化が鮮明化すれば、この動きは比較的容易に現れます。
日本は春からどれくらい就業者数が減ったのでしょうか。実は正社員はまだ解雇に至っている例は少なく、徹底的に飲食・サービスの非正規や、雇用調整金貰っての自宅待機が増えています。
日本の失業率は3%でなく7%では?「表面化しない失業者」の実態
コロナ禍で法人企業統計調査では、今年4~6月期の従業員数が昨年同期に比べて220万人減少した。他方、直近の9月の労働力調査では雇用者が75万人しか減少していない。この差は、雇用調整助成金で支えられる休業者の扱いの差にあると思われる。これらの人々は、条件変化によっては解雇される可能性が高いため、実質的な失業者とみなすべきだ。このほか、解雇され職を失っても再就職のめどがたたず求職活動をしない非労働力化したパートなどの非正規労働者も実質的な失業者だ。これらを加えると、現時点での日本の失業率は7%近いと推計される。
そしてどんな人たちの雇用が失われたのか
2020年4~6月期について、業種別に見ると、前年同期に比べて製造業が4.3%減(40万人減)なのに対して、非製造業は7.2%減(195万人減)となっている。減少率が高い業種としては、娯楽業(33.4%減)、宿泊業(29.0%減)、飲食サービス業(19.6%減)、サービス業(集約)(11.7%減)、卸売業(11.2%減)などがある。企業規模別に見ると、資本金1000万円以上2000万円未満が9.1%減、2000万円以上5000万円未満が6.9%減と、減少率が高い。それに対して、10億円以上では、減少率が4.6%と低くなっている。
220万人も従業員数が減った。これを松本 貴典教授の式に当てはめますと、220÷16×1000=
13750人も自殺者が増える!!!
しかし野口教授の記事を読むと、220万人のほかに「休業者」や「非労働力」化した人たちが同数くらいいる。つまり自殺者はもっとずっと多くなる可能性があるということです。
今年のコロナで死んだ人はまだ2000人もいないのに、経済の破綻で14000人の現役が自殺するかもしれないわけです。そしてその兆候はすでに明確に始まっています。生活保護があるじゃないかというクソリプをもらいますが、バブル崩壊の時だって生活保護はあった。金が無いから自殺するわけではなく精神を病んで自殺するのです。
まずこの前提で以下のお医者さんの発言を考えてください。
エビデンスもなしにGo Toが感染拡大の原因だと断言するとどうなるか
Go To感染拡大のきっかけ 日本医師会長 「コロナ甘くみないで」
感染者増と観光支援事業「Go Toトラベル」の関連については「エビデンス(証拠)がなかなかはっきりしないが、きっかけになったことは間違いない」と述べた。
医師会は医師の代表ではないようですが、普通の人たちはそう捉えます。結果、「はやくGo To止めるべきだ」の声が溢れました。しかし
「Go TOトラベル」の利用者のうち、新型コロナウイルスの感染が確認されたのは、17日時点で155人だったと明らかにした。7月に開始した同事業の10月末までの利用者は、延べ3976万人に上る
確率は0.0000039%です。当然ゼロの訳は無いが、とんでもなく確率は低い。
それもそのはず、Go To使ったらわかるがどこの施設も徹底的に対応をしている。マスクの強制はもちろん、アルコール消毒やバイキングなら食事中以外はマスク必須でトングは手袋。館内は必死に消毒が行われ、スナックやカラオケは閉められている。どこに感染対策をしない宿泊施設があるというのだ?
仮に医師会会長がエビデンスも無しにテレビで「Go Toが感染拡大のきっかけだ」と断言したことはすなわち
感染対策をしながら経済を回すのは不可能である
と断定したのに等しい。
もし「感染対策をしながら経済を回すのが無理」ということであれば、経済を回さず感染対策をするか、経済を回して感染対策をしないかという選択になってしまう。
医師会会長は暗に「経済を回さず感染対策をしよう」といったのであると思うが、そうすると問題になるのはどちらがたくさんの死者が出るのかということになります。
コロナでの死者は現在9ヶ月で1921人弱。このペースだと年間では2561人です。しかも余命短い基礎疾患ありの高齢者がほとんど。
これに対して現役の自殺者の予測は13750人以上!!ということになる。
現役14000人の死 VS 高齢者2561人の死
ということになり、誰が見ても「感染対策と経済対策で優先なのは経済政策」という答えが出てしまう。感染対策しなかったらもっとコロナの死者が出るといってくる奴が目に浮かぶが、感染対策を優先して経済を殺せばもっと自殺者が増えてしかもその数はコロナ死者よりずっと多くなる。
Go Toを非難するなら、Go Toが救った人命も考えてからにしてほしい
ということです。係数を考えると明らかに救ったほうが多いはずだ。
くわえて今朝のテレビ。
夜の街も飲食も第1波よりめちゃくちゃ対策しているではないか
逆に家庭内が2倍になり、施設内は3倍だ。施設内感染を止めるだけで全体の感染者は4割も減る。Go Toを批判するのであれば、施設内感染をどうやって防ぐかという提案をしたほうがよほど前向きでしょう。
先日、友人がこんなことをFacebookに投稿していた。
●春先の感染拡大時期に新型コロナの患者を受け入れたおかげで病院経営がヤバくなったから、夏の感染拡大期には病床を提供できなかった(しなかった)。
○経済優先だと感染拡大に歯止めがかからないから、自粛させるべき。
これ、どちらも医療関係者の言動ですが、●は自分達の利益のためにやってたわけで、○で他業種の皆さんの利益を圧迫するようなことを平気で言うのは如何なものかと思う次第です。
医師法第一条には「医師は国民の健康を確保するもの」とあります。
「感染対策したら孤独も貧困も自殺も増えたけどそっちの方は知らないよ」というような単純な仕事では国民の健康は守れません。それが命を守る本当の医師の責務です。とは、鹿児島県の医師である森田洋之先生のコメントです。
なのでコロナの感染拡大に注意しろと煽りまくってる医者のみなさんに「コロナばかり対策して自殺者がその何倍も出るのはいいんですか」と聞くのですがほとんどがスルーされています。
この間、Twitterにマスクの写真掲載したら「どこのマスクですか」って言われたのですが、わたしは顎が凄いマスクアレルギーになってしまって強いステロイドを使っています。マスクは木綿のコレにして2ヶ月。やっと少し収まってきました。
編集部より:この記事は永江一石氏のブログ「More Access,More Fun!」2020年11月19日の記事より転載させていただきました。