日本にも「孤独担当大臣」を新設しよう

2020年11月23日 17:00

コロナの影響で自殺者が増えています。特に若い女性の自殺数の増加が目立っています。自殺に至らない場合でも、仕事や生活環境の激変で、孤独を抱えている人が増加していると思われます。

そもそも日本には孤独が溢れています。

まず、いわゆる「孤独死」も増えています。東京23区の単身高齢者の孤独死は10年間で1.7倍になっています。また、日本の単身世帯率は34.5%で障害未婚率も男性23.37%女性14.09%でいずれも年々上昇しています。さらに、日本では高齢者の親と無職で独身の子供が同居しているいわゆる8050問題があります。2013年の時点で推計約60万世帯あると言われています。引きこもりも推計61万人。シングルマザー世帯は123万世帯で、その半分は相対的貧困。孤独の中で子育てをしている世帯も多く、産後うつや児童虐待も珍しい話ではなくなっています。

今や、どこにでもある「孤独」。

しかしこれまで我が国には、この孤独の問題に向き合う総合的な政策がありませんでした。私たち国民民主党は、2019年の参議院選挙で、政党としてはじめて「孤独対策」を公約に掲げその必要性を選挙でも訴えました。あれから1年。コロナの感染拡大に伴う社会問題の悪化を踏まえて、今こそ、我が国にも総合的な「孤独対策」が必要です。

「孤独対策」において先行しているイギリスでは、2018年、当時のメイ首相は「孤独担当大臣」の設置を発表しました。孤独問題への戦略の策定と基金の創設を通じて孤独問題の解決を目指すポストです。

イギリスでは、900万人以上(人口の13%以上)の人が孤独を感じているとされ、大臣創設のきっかけとなった「ジョー・コックス孤独問題委員会」は、孤独は1日タバコ15分するのと同じ位健康に害を与えるとしています。また、孤独によって死亡リスクが26%高まることや、脳卒中を発症するリスクが32%高まること、認知症の発症率も孤独を感じる人では孤独を感じない人の約2.5倍高いことを指摘する研究もあります。また、障害者は51.6%が孤独を感じており、健常者の15.5%よりも高い確率で孤独を感じているとの指摘もあります。

このように孤独が人の心身の健康に影響があることが明らかになってきている中、高齢化が急速に進み、また若者の自殺も増えている日本でこそ、「孤独対策」に早急に取り組まなければなりません。

そこで、まず国としてやるべきは、「孤独」の定義を明確に定めること、そして、その孤独を測る「指標」を開発し、全国的に大規模な調査を行いエビデンスを蓄積していくことが必要です。そのための担当大臣と担当部局を明確に定めることを最優先課題として訴えたいと思います。

ジョー・コックスさんの追悼行事より(Garry Knight/flickr)

ちなみに、イギリスで孤独問題にいち早く取り組んだのが、委員会に名前が冠されることになったジョー・コックス下院議員ですが、彼女は、EU離脱に反対する極右思想の男性に殺害されてしまいます。

当時、3歳と5歳の子どもを育てるママでもありましたが、彼女の夫は「子どもたちが今朝起きてきたら、ママはこの世にいなくても、それでも世界をより良い場所に変えてくれるんだと話してあげる」と述べています。イギリスの孤独対策には、彼女の強い意思が受け継がれています。

一方、日本においては、孤独の問題はこれまで国会でも数回しか取り上げらられておらず、政府としても明確に課題として認識してこなかったのが実態です。また、「孤独対策」は各省にまたがる案件であり、専門で担当する大臣や部局がないことも取り組みが進まない一因だと考えます。

まずは政策担当者の中に、「孤独」が単なる個人の主観の問題ではなく公衆衛生上の課題であるとの認識を広げ、総合的な孤独対策が講じることで自殺する人や孤独によって心身の健康を害する人の数を減らしていかなくてはなりません。

こうした目標に向けて、具体的には以下のような取り組みを進めることを提案します。

① 国会に孤独を専門に取り扱う孤独対策調査会または孤独対策特別委員会の設置

② 孤独担当大臣と担当部局の新設

③ 孤独の定義を明確に定める

④ 孤独を測定する指標を開発し全国調査を行いエビデンスを蓄積

⑤ 超党派で「孤独対策基本法」を策定し、議員立法として提出

⑥ 相談体制等を大幅に拡充

このうち⑥の相談体制等の拡充については、直ぐにでも取り組める対策です。具体的には、以下のような体制整備を第三次補正予算や来年度予算に計上して実現してはどうでしょうか。

  • 若者向けに「若者民生委員」のような気軽に相談できる同世代の相談員を設けたり、自殺が多いとされる深夜時間帯のLINEなどSNSによる相談体制を拡充する
  • 高齢者向けに、既存の相談体制の拡充に加え、デジタル化から取り残されることのないようネットやICT機器について気軽に相談できる「デジタル民生委員」の創設
  • 孤独対策を考える官民合同の地域協議会の設置
  • 郵便局やNPOなどによる見守りサービスの支援・拡充

国民民主党は、2019年の参議院選挙で、公党としてはじめて「孤独対策」を公約に掲げその必要性を選挙でも訴えました。コロナを経て改めてその必要性が認識されたと考えます。ただし、「孤独対策」は新しい政策概念なので、なかなか理解されない面があると思います。しかし、孤独を感じておられる方は確実に存在します。だからこそ、同僚議員と力を合わせて対策の必要性について国会内外での理解を広げていくつもりです。

そして、専門家や支援団体の声とともに、実際に孤独を感じておられる当事者の声を耳を傾けながらより良い政策につなげていきたいと思います。


編集部より:この記事は、国民民主党代表、衆議院議員・玉木雄一郎氏(香川2区)の公式ブログ 2020年11月23日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はたまき雄一郎ブログをご覧ください。

アゴラの最新ニュース情報を、いいねしてチェックしよう!
衆議院議員(香川2区、国民民主党代表)

過去の記事

ページの先頭に戻る↑